2020 Fiscal Year Research-status Report
組織因子とオートファジーに着目したNET抑制による敗血症の新たな病態の解明
Project/Area Number |
17K11064
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
下村 泰代 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (80534031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 修 藤田医科大学, 医学部, 教授 (20208185)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 好中球細胞外トラップス / Autophagy / 敗血症性DIC / 敗血性ショック / 多臓器不全 / トロンボモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト末梢血液を用いた研究で、好中球の精製と培養系を確立できたため、現在Autophagyの発現の検討を行っている。 LPS誘導型敗血症モデルマウスを使用する研究では、DIC治療薬であるリコンビナントトロンボモジュリン(rTM)の効果を検討を行っている。 これまでもrTMの効果をみる研究はあるが、多くはLPSなどの感染物質に先立ってrTMを投与(前投与)する研究である。しかし、敗血症発症前にrTMを投与するのは実際の臨床現場では現実的でない。我々はLPS投与後にrTMを投与する(後投与)を行った。 今までのところ、LPS投与後72時間で50%となる生存率が、rTM後投与群では72時間後は100%、96時間後では80%と改善することを明らかにした。敗血症性DICの病態悪化の原因の一つが、サイトカインストームや多臓器不全がある。そこで、rTM後投与の有無で血中の炎症性ならびに抗炎症性サイトカイン濃度を測定した。rTM後投与はこれらのサイトカイン濃度の上昇を抑制した。また、多臓器不全のターゲット臓器である肺・腎・肝臓のNETs形成はNETs構成成分であるヒストンの蓄積状態で評価した。蛍光免疫染色法でヒストンを検出したところ、ヒストンの蓄積は抑えられていた。以上の結果からLPS誘導型敗血症モデルマウスにおけるrTMによる生存率改善には、サイトカインストームの抑制と多臓器不全のターゲット臓器の抗炎症効果によるもではないかと推測している。引き続き臓器内でのオートファジーの状態を検証中である。本研究を通じて、NETs形成やオートファジーが敗血症の重症化に関与している可能性が見いだせてきた。結果の一部を論文を投稿したが、revise(校正要求)となったため引き続き研究を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19のまん延でヒトサンプルの回収が遅れている。また論文投稿したが、reviseとなり、追加実験を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジーやヒストン、NETsの検出において、現在使用しているものより感度や再現性が優れている試薬や方法を取り入れ検討していく予定である。 論文発表まで詳細な公表は控えるが、本研究を通じて、オートファジーがNETs形成に関与している可能性が見えてきた。 研究期間を延長することで、敗血症の病態をさらに深く解明していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19のまん延でヒトサンプルの収集が遅れているため、研究費の使用も遅れている。ただ、論文がreviseとなり、追加実験が必要なため、次年度に予算使用したいと考えている。
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Research Products
(9 results)