2017 Fiscal Year Research-status Report
The role of T-type calcium channel in the neurotoxicity of local anesthetics
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17K11065
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
藤原 祥裕 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70238640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馮 国剛 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70351111)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ブピバカイン / ミトコンドリア / T型カルシウムチャネル / 神経毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に得られた研究成果は以下のとおりである。1.ブピバカインはレボブピバカイン、ロピバカインに比べ強い神経細胞毒性を示した。2.これらの神経細胞毒性は、各種イオンチャネル阻害薬の中でもT型カルシウムチャネル阻害薬NNC55-0396のみによって増強された。3.NNC55-0396はそれ自体でも用量依存性、時間依存性に神経細胞毒性を示した。4.細胞内外のカルシウムキレート剤(EGTAとBAPTA-AM)を投与すると、細胞外のキレート剤のみが神経細胞毒性を示した。5.ブピバカイン、NNC55-0396はともにミトコンドリア膜電位を脱分極させアポトーシスを誘導した。 これらの結果から、ブピバカインの神経細胞毒性にはT型カルシウムチャネルを介するカルシウムイオン流入の阻害が関連していることが示唆された。PI3キナーゼパスウェイの構成要素であるAKTはアポトーシス誘導に密接に関連していると考えられているが、先行研究でカルシウムイオンとの協働が示唆されている。今後、ブピバカインのAKT活性に対する影響を調べる必要があると考えられる。 一方、ミトコンドリア膜電位はATP感受性カリウムチャネルによって制御されている。ブピバカインはATP感受性カリウムチャネルを阻害することによってミトコンドリア膜の脱分極を引き起こし、アポトーシスを誘導する可能性が示唆された。今後、ブピバカインのATP感受性カリウムチャネルに対する作用を調べる必要がある。さらに、ATP感受性カリウムチャネル開口薬リマカリムのブピバカインの神経細胞毒性に対する影響を調べることによって局所麻酔薬の神経細胞毒性を中和する可能性があると考えられる。 その他、現在ブピバカインのミトコンドリアからのチトクロムC放出に対する影響を調べているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
技術的困難によって未だ達成されていない事項(パッチクランプ法など)もあるが、平成30年度実施予定であった各種イオンチャネル阻害薬の神経細胞毒性に対する影響は前倒しで実験を完了しており、全体として研究は当初の計画より早く進行している。またその中で当初予想していなかった結果も得られており、新しい課題も浮かび上がってきている。現時点で得られている研究結果をもとに現在論文執筆を行っている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究計画の通り、以下の研究を実施する。1.RT-PCR法を用いて神経細胞における各種イオンチャネルの発現を調べる。2.ミトコンドリアからのチトクロームC放出に対するブピバカイン、NNC55-0396の影響を調べる。
その他、研究実績の概要に述べたように、以下の研究を追加で行う予定である。1.ブピバカイン、NNC55-0396、カルシウムキレート剤のAKT活性に対する影響を調べる。2.ブピバカインによるミトコンドリア膜脱分極作用ならびに神経細胞毒性に対するATP感受性カリウムチャネル開口薬、阻害薬の影響を調べる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由は、物品費、旅費、その他の費用が当初の予定ほどかからなかったためである。研究は順調に進行しているし、引き続き学会などでの発表も予定しているため、今後、実験用試薬、機器、旅費などに引き続き費用がかかると予想される。次年度使用額については次年度分助成金と合わせて適正に使用していく計画である。
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