2018 Fiscal Year Research-status Report
GSK-3βに焦点をあてた術後の高次機能障害の発症機序の解明とその予防法の検討
Project/Area Number |
17K11068
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山下 創一郎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10455933)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 術後高次機能障害 / 高齢 / 海馬 / 樹状突起 / グリコーゲン合成酵素キナーゼ3 / Morris water maze |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢ラットを用いて、GSK-3β阻害薬であるtideglusibを投与すると手術後の学習・記憶障害が軽減するかという実験を行った。 15か月ラット20匹、腹部手術群、腹部手術 + tideglusib投与群、tideglusib投与のみ群、コントロール群の4群に分け、腹部手術群では開腹手術を行い、腹部手術 + tideglusib投与群ではtideglusib 5mg/kgを1週間腹腔内投与した後に開腹手術を行った。開腹手術当日のtideglusibの投与は閉腹直後に行った。tideglusib投与のみ群はtideglusib 5mg/kgを1週間腹腔内投与した。ところが、腹部手術 + tideglusib投与群の5匹のうち4匹が術直後に死亡した。 1週間の腹腔内投与により腹腔内の炎症が進んでいたことが死亡の原因ではないかと考え、続いての実験ではtideglusibを手術当日のみ投与することとした。15か月ラット12匹を、腹部手術群、腹部手術 + tideglusib投与群、tideglusib投与のみ群、コントロール群の4群に分け、今回は腹部手術 + tideglusib投与群ではtideglusib 5mg/kgを開腹手術の閉腹直後1回のみ行い、tideglusib投与のみ群はtideglusib 5mg/kgを1回腹腔内投与した。ところが、腹部手術 + tideglusib投与群の3匹のうち2匹が術直後に死亡した。 腹部手術 + tideglusib投与群で約2/3が手術直後に死亡した。原因は不明だが、手術との関連性が疑われた。tideglusibそのものが悪影響を及ぼしたのかもしれないが、tideglusibの溶媒の浸透圧により、手術当日に投与すると血管内脱水を惹起し、それが悪影響を与えた可能性も指摘もある。次年度は、投与のタイミングを変えて実施することとしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
加齢ラットを用いて、tideglusibを投与すると手術後の学習・記憶障害が軽減するかという実験を行ったが、腹部手術 + tideglusib投与群で約2/3が手術直後に死亡したため、学習・記憶能力の測定までたどり着くことが出来なかった。原因は不明だが、手術との関連性が疑われた。tideglusibそのものが経過に悪影響を及ぼしたのかもしれないが、tideglusibの溶媒に使用したジメチルスルホキシドとTween80の浸透圧が高く、手術当日に投与すると血管内脱水を惹起し、それが経過に悪影響を与えた可能性も指摘できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、投与のタイミングを変えて実施することにしたい。 現在のところ、手術当日に投与したことが術後経過に悪影響を与えたと考えているので、tideglusibを1週間前に投与して行う予定である。
|
Causes of Carryover |
加齢ラットを用いて、tideglusibを投与すると手術後の学習・記憶障害が軽減するかという実験を行ったが、薬物を投与した群で死亡率が高く、投与方法の見直しが必要になったため。今回繰り越した予算は薬物の購入や動物に飼育料のために使用する予定である。
|