2017 Fiscal Year Research-status Report
間質性肺炎肺に対するPDE4阻害薬のドラッグ・リポジショニングに関する基礎的検討
Project/Area Number |
17K11071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 佳代 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (40532221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 芳嗣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30166748)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フォスフォジエステラーゼ4 / 特発性肺線維症 / 二次性間質性肺炎 / タンパク質発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドラッグリポジショニングのコンセプトを元に、フォスフォジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬を間質性肺炎に適応拡大することが、本研究の最終的な目的であり、4種類のフォスフォジエステラーゼ4のタンパク質発現を明らかにすることが本年度の目的である。 間質性肺炎患者は大きく分類して特発性肺線維症(n=5)と二次性間質性肺炎(n=4)があり、肺癌患者からの摘出標本の中の癌でない部分を対象とし、肺癌患者からの摘出標本の中の正常組織(n=3)をコントロール群とした。 肺組織のタンパク質を抽出後、Wes(ウェス)を用いてタンパク質のサイズによる分離分析(シンプルウエスタン法)を行った。アッセイプレートに正常肺、肺線維症肺および二次性間質性肺炎肺から抽出したタンパク質を分注したあと、PDE4B一次抗体、標識試薬や二次抗体などの試薬を分注する。Wesにプレートを設置し、タンパク質の分子量に基づいた分離を行う。 シンプルウエスタン法で得られたバンドの化学発光領域は健常肺群で16.1±6.7×10^4、肺線維症群で7.7±2.9×10^4、二次性間質性肺炎群で99.5±78.2×10^4であった。同じ間質性肺炎に分類される肺線維症群と二次性間質性肺炎群の間で異なる発現傾向が観察された。まとめると、発現量が少ない順から肺線維症肺群<正常肺群<二次性間質性肺炎肺群となる傾向を示した。 今回の実験結果からは肺線維症と二次性間質性肺炎はPDE4B発現量、つまり炎症細胞の活性化の観点からは異なる病態から形成される疾患であり、PDE4阻害薬の有効性に差が出る可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一定数の検体を取得できており、一部のタンパク質解析が行えているため。今後、さらに検体を収集していく。
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Strategy for Future Research Activity |
シンプルウエスタン法では通常のウエスタン法と異なる分子量でバンドが出現する事が多く報告されているため、今後、RT-PCRや標本の免疫染色を行って、今回の結果の妥当性を検証していく必要がある。具体的には以下の実験を行う。 『mRNAの発現をRT-PCR法で比較』 mRNAを組織から抽出し、mRNAを鋳型に逆転写を行ってcDNAを合成する。生成されたcDNAに対してPDE4特異的なプライマーを用いてPCRを行い、PCR産物をアガロースゲル上で解析する。 『免疫染色によるPDE4の局在の同定』 肺組織をホルマリン固定し、パラフィン切片を作成する。実験1で発現増強の認められた型のPDEに対する一次抗体を室温で60分間パラフィン切片と反応させる。次に二次抗体を反応させ、染色結果を撮像し、目的とするPDEの局在を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度行う予定であったタンパク質解析の方法を従来法のウエスタン法ではなく、シンプルウエスタン法で行った。当初支出予定であったタンパク質解析試薬の購入ではなく、研究室に保管されていたシンプルウエスタンキットを用いたため、支出額が予定よりも少なくなった。
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Research Products
(1 results)