2020 Fiscal Year Research-status Report
水溶性・脂溶性に着目したスタチン系薬剤の細胞腫毎での細胞障害作用の検討
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17K11072
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
張 京浩 帝京大学, 医学部, 教授 (50302708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 芳嗣 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学三田病院, 教授 (30166748) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性サイトカイン / アポトーシス / 急性肺障害 / スタチン / デキサメサゾン / ラパマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、未曾有の新型コロナ肺炎のパンデミックの影響を受け、実験室を含めた大学病院の機能がかつてないほど制限されたため、残念ながら、実験計画は実験室の整備以外にはほとんど進行できずに終わってしまった。具体的には、これまで使用していた前所属の大学病院実験室が東京都の感染拡大期に一時的に使用不可能となり、最終的にそこでの実験継続を断念するにいたったこと、現所属の大学病院での実験室での実験継続を目指したが、申請者自身が日々の臨床で重症コロナ肺炎患者の診療に当たっていた関係で臨床活動への貢献(effort)が大部分となり、基礎実験にあてる時間がなかなか見つけられなかったこと、さらに、他の実験室利用者への気兼ねから、日々のコロナ患者担当者として実験室に立ち入りにくかったことがその理由としてあげられる。一方、本実験課題での成果の一部として、すでにデキサメサゾンの炎症性急性肺障害の有効性を報告しているが、その知見が、図らずも、現状のコロナ肺炎の標準治療薬となっている同薬剤の薬効の基礎的な機序の一部を説明していることとなった。この点については、すでに他の関連する研究者からも問い合わせを受けており、今日の状況で推進していくべき研究テーマとして喫緊の課題と考えている。そこで、本実験課題をさらに一年延長する許可をいただいて、多様な病態で検証を進めるのではなく、むしろ急性肺障害の病態にターゲットを絞り直して、スタチンも含めた薬物介入の効果について、従来の成果に加えてより細かく検討し、総仕上げとしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度までに、生体侵襲をシュミレートしたin vitroモデルを構築し、その系での細胞傷害性を軽減するキー分子として、JNKとAktが重要であることを明らか にできた。すなわち、炎症性サイトカインの関与する細胞障害においては、少なくとも部分的にはJNKの活性化によるアポトーシス経路が関与し、さらにその細胞障害性の軽減には、JNKそのものの活性抑制と、別途Aktの活性化によるsurvival経路の賦活が重要である知見を得たので、まずはその成果を論文として発表した。2019年度は、その系を用いて、主要な課題であるスタチンの前投与の効果を検証した。結果として、スタチン一般としての細胞障害性の増強効果を確認したが、水溶性/脂溶性の違いによる生物学的効果の違いを見出すには至らなかった。2020年度は、上記知見の普遍性を示すために、新たに神経系細胞を入手して実験課題を検証する予定であったが、上述のように、新型コロナ肺炎のパンデミックの影響を受けて、実質的な実験計画については年度途中での中断に至った。ただし、今回幸いにも実験課題のもう一年の延長が認められたので、現所属の実験室での実験再開のための準備を行い、急性肺障害にテーマを絞っての研究の総括を予定している。また、すでに本実験課題に関連して発表している知見であるデキサメタゾンが炎症性急性肺障害を軽減する機序が、現状の新型コロナ肺炎でのデキサメサゾンの臨床的効果に貢献している可能性があり、この点では他の研究者からも問い合わせを受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
最後の研究年度である本年度においては、昨今の新型コロナ肺炎の蔓延する社会的状況を鑑み、基礎実験においては、急性肺障害の病態にターゲットを絞り直して、スタチンも含めた薬物介入の効果を検討する方針とすることとした。スタチンに関しても濃度・種類をもう少し広く細かく設定して、細胞毒性あるいは細胞保護の可能性を結論付けたい。また、すでに来年度の麻酔科学会において、急性肺障害に関するシンポジウムでの講演を依頼されており、それも本研究課題の発表の場とするとともに、急性肺障害での薬物療法に対する論文探索と総説の執筆にも取り組みたい。
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Causes of Carryover |
昨年度は臨床現場における新型コロナ肺炎重症患者の対応に毎日追われていたためまとまった時間がとれず、実験室のセットアップがメインの活動状況となった。今年度は申請者自身がコロナワクチンの接種もすでに済ませており、他の使用者がいる場合でも実験室の立ち入りが可能となったため、急性肺障害に病態を絞って薬物介入の効果をより細かく検証し、研究の総仕上げをする予定である。
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