2019 Fiscal Year Annual Research Report
Spinal acute septic inflammatory change and its clinical significance
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17K11076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 具治 京都大学, 医学研究科, 講師 (10402893)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 敗血症 / 脊髄 / サイトカイン / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症時には、感染病原体に対する免疫担当細胞の炎症反応を契機として、各臓器の血管内皮細胞や実質内の一部の細胞が、各種炎症性メディエーターに反応することにより、さらに炎症性物質を産生し、これらによって白血球系の細胞が組織内に浸潤し、ARDSに代表されるような種々の臓器障害が発生すると考えられている。中枢神経系では、かつては血液脳関門の存在によって、これらの免疫反応は原則的に発生しないものと考えられてきたが、実際には、グリア細胞(とくにミクログリア)が、炎症性サイトカインを産生すること、また炎症が高度となった場合には、血液脳関門の透過性が亢進し、血中の免疫担当細胞や炎症性物質が中枢神経内に流入することが明らかとなってきた。このような全身性の炎症反応に伴って発生する脳の炎症性変化と機能障害は、臨床的に“敗血症性脳症”と呼称され、集中治療室に入室する敗血症患者の実に50-70%に発生すると報告されている。実際、敗血症を発症した患者の多くに意識状態の変化を伴うことは、日常臨床上しばしば経験するところである。一方、中枢神経系のもうひとつの構成臓器である脊髄については、敗血症時の変化に関する報告はほとんど行われておらず、脊髄の炎症変化に関する報告のほとんどは、神経変性疾患時の慢性炎症や外傷性の脊髄損傷時に発生する炎症性変化についてのものである。敗血症の際に、脊髄にサイトカインをはじめとする炎症性メディエーターがどのように誘導されるかを分子生物学的に解析する。またこれらの炎症反応が脊髄に生じうる形態変化を評価する。さらに、行動実験を介して敗血症がどのように脊髄機能に影響を与えるか、および、薬剤による介入によって炎症の軽減と脊髄機能保護が可能かどうかについて検討し、敗血症時の新たな臨床的マネージメントのための基礎的なデータを提供したいと考えている。
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Research Products
(1 results)