2017 Fiscal Year Research-status Report
神経栄養因子の発現調節による術後認知機能障害の予防と治療
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17K11080
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小幡 典彦 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (30509443)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 術後認知機能障害 / 神経栄養因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
術後モデル動物の作成:イソフルラン1.5%を用いた全身麻酔下に腹部正中切開(創約1cm)し、腹腔から腸管を空気中に暴露させ、綿棒で1分間manipulation(綿棒で揉む)した後に、臓器を腹腔内に戻して腹膜と皮膚を閉創した。閉創後、術後鎮痛目的にEMLA cream(リドカイン+プロピトカイン配合クリーム)を塗り、8時間毎に創部に塗布した。 認知機能評価:術前および術後24時間以内に、オープンフィールド試験(自発的活動性、不安様行動の評価)、新奇物体認識試験(新奇性嗜好、視覚認知機能の評価)、明暗箱試験(不安様行動の評価)、高架式十字迷路(不安様行動の評価)を行った。現時点では明らかな差を認めていないが、新規物体認識試験や明暗箱試験では術後に認知機能が低下している傾向もみられており、今後さらに検討を重ねていく。 各部位における神経栄養因子ファミリーの経時的な発現変化の検討:イソフルランあるいはセボフルランで麻酔導入し、ソムノペンチルの腹腔内投与により深麻酔下に開胸、心臓脱血、PBSによる脳灌流施行後、海馬と前頭葉を摘出した。リアルタイムPCRを用いてmRNAの測定を行い、BDNFの発現には術前後で差を認めなかった。他の栄養因子ファミリーでの評価はまだできておらず、今後測定していく予定である。 術後認知機能障害のリスク因子である糖尿病を有する2型糖尿病モデルを用いた実験を並行して行っているが、そちらのモデルでも神経栄養因子に加えて、ドパミン受容体、小胞体モノアミン受容体、セロトニン受容体などの発現を評価しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、術後モデルとして足底切開モデルの使用を予定していたが、より手術侵襲の大きい腸管manipulationモデルを採用したため、モデルの確立に時間を要した。 認知機能の行動評価にも若干の修正を加えたが、研究協力者の理解も深まり、次年度はより効率的に実験が行えるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
脳以外の組織(局所、DRG、脊髄)においても、mRNAの測定にはリアルタイムPCRを、蛋白の発現評価にはウエスタンブロット法および免疫組織化学法を用いて、神経栄養因子ファミリーの発現変化を比較、検討する。発現変化がみられた各部位において、各神経栄養因子の発現調節を試みる。さらには、オープンフィールド試験、新奇物体認識試験、明暗箱試験、高架式十字迷路を用いて認知機能評価を行う。最終的には安全性の確認を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画よりも実際にはやや遅れが生じたことにより、試薬や動物の購入数が計画よりも少なくなったため、次年度使用額が生じた。次年度に遅れを修正することで使用可能と思われる。
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Research Products
(1 results)