2021 Fiscal Year Annual Research Report
Antioxidative therapy for prevention of postoperative delirium and cognitive dysfunction
Project/Area Number |
17K11088
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松本 重清 大分大学, 医学部, 准教授 (90274761)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 術後せん妄 / 酸化ストレス / ビタミンC / 電子スピン共鳴 / 炎症反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
術後せん妄(POD)は死亡率と関連するため予防法の確立は喫緊の課題である。近年PODの機序として神経炎症や酸化ストレスの関与が指摘されている。 VC(ビタミンC)は酸化ストレスに対して最も早く反応して減少する。我々は、電子スピン共鳴装置を用いた血漿VCラジカル(VCR/DMSO)測定によりVCをリアルタイムで評価した。PODは術後1週間以内のせん妄発症と定義し、CAM‐ICUあるいはICDSCで評価した。心臓・大血管疾患に対する各種待機的手術患者149名を対象とし、42名がPOD合併群(D)、107名が非合併群(ND)であった。血漿VCR/DMSOの測定値は平均値±標準偏差で示し、測定点は術前(pre)、ICU入室時(icu)、術後1日目(1pod)とし、Holm-Sidak法によりp<0.05を有意差ありとした。preでは、両群のVCR/DMSOに有意差はなかったが、両群ともに正常より有意に低下した。icuでは、Dに比し、NDで有意に高値となった。1podでは、両群間に有意差はなかった。両群ともにpreに比し、icuと1podでは有意に低下した。 Bio-Plexを用いて各種サイトカインも測定した。血漿が残っていた78名を対象とし、36名がD、42名がNDであった。preでは、全ての測定値で有意差を認めなかった。icuでは、Dにおいて炎症性サイトカインのIL-6とIL-8が有意に増加した。1podでは、全ての測定値で有意差を認めなかった。 心臓・大血管疾患に対する手術患者では、術前にすでに酸化ストレスが生じており、ICU入室時のVCが低いほど、炎症がより高いほど、PODが生じる可能性が高いことが示唆された。よって、ICU入室時にVCが低下してれば、VC投与による酸化ストレスの抑制だけでなく、ステロイドも投与して炎症も抑制することでPOD発症をより抑制できるかもしれない。
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