2017 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬による心筋保護作用に対してナチュラルキラー細胞及び免疫応答が及ぼす影響
Project/Area Number |
17K11090
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
平田 直之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00438045)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 周術期管理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
吸入麻酔薬による心筋虚血再灌流障害の抑制作用と、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)による免疫応答の活性度評価を目的に研究を開始した。ラットの生体モデル(in vivo)を用いた虚血再灌流障害に対する吸入麻酔薬の効果に関する研究を行い、虚血再灌流モデルを確立した。本モデルにおいて吸入麻酔薬投与群では、非投与群と比較して、虚血再灌流障害が抑制されることを確認した。吸入麻酔薬による心保護作用が活性酸素除去薬であるTempol(TEM)を先行投与することで棄却されることから、本機序には吸入麻酔薬曝露による活性酸素種の制御が関与していると考えられる。さらに、吸入麻酔薬投与は心筋ミトコンンドリア電子伝達鎖に対して複合体Iを選択的に抑制し、少量の活性酸素種(Signaling ROS)が産生されると考えられる。Signaling ROSは、心保護作用の細胞内シグナルカスケードが惹起し、本心保護作用がもたらされることをこれまで明らかにしてきた。一方、吸入麻酔薬自体がNK細胞活性へ及ぼす影響についてはWhole blood NK cytotoxicity Assayが遂行できておらず次年度以降の課題である。さらに、活性酸素種とNK細胞活性の関係については、活性酸素種がNK細胞活性へ直接影響を及ぼす可能性が考えられるため、研究の指標および方法について再検討中である。また、虚血再灌流後の血液から、白血球分離を行い、フローサイトメトリー、定量リアルタイムPCRを行い、mRNAの発現に関する研究も遂行できておらず、今後の研究課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床業務多忙により、十分な研究時間が確保できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が遅延していることを踏まえ、業務体制を見直し十分な時間を確保する。特に、研究の遅延が明らかである、吸入麻酔薬とNK細胞活性評価について焦点を当て、研究方法について多角的に再検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、NK細胞活性評価が遂行できていないために使用予定であった物品費に残額が生じた。平成30年度に使用予定である。
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