2017 Fiscal Year Research-status Report
病態解明および創薬を目標とした小児先天性心疾患患者の赤血球中microRNA解析
Project/Area Number |
17K11093
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中山 力恒 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90568198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 祥代 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40457958)
小川 覚 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50636131)
中嶋 康文 関西医科大学, 医学部, 教授 (70326239)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 先天性心疾患 / 血球異常症 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
初めに、チアノーゼ先天性心疾患・非チアノーゼ先天性心疾患・および非心疾患患者(コントロール)各10名ずつの血液から成熟赤血球を分離した。次に、専用のkitを使用し、microRNAを含む、small RNA分画を抽出した。得られたmicroRNAからcDNAライブラリーを作成した。その後、次世代シーケンサーを用いて、その中のmiRNA発現の網羅的解析を行った。統計解析の結果、チアノーゼ群でmir-486、mir-155が有意に上昇し、非チアノーゼ群でmir-1260a、mir-1260b、let-7eの有意な低下を認めた。 次に各群20名について、validationのためのrPCRを施行した。その結果、Mir-486-3p、 mir-486-5p、mir-155-5p がチアノーゼ群で有意に上昇していることが明らかとなった。 また、非チアノーゼ群では、 Mir-486-5pが有意に上昇し、let-7e-5p および mir-1260a が有意に低下していることが明らかとなった。miR-486 (-3p、-5p)、miR-155は血球分化に深く関わることが明らかにされている。特に、miR-486-3pの上昇は巨核球・赤芽球前駆細胞に作用し、赤芽球系への分化を促進させ、巨核球系への分化を抑制する。また、miR-155の上昇は巨核球系前駆細胞の分化を抑制する。本研究の結果から、これらのmiRNAがCHD患者の血球異常症の発症メカニズムに強く関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤血球中から充分量のmicroRNAが抽出できたため、質の高いcDNAライブラリ作成が可能であったことが研究を順調に進行させた大きな要因である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は得られたデータをさらに詳細な臨床データと結びつけること、また、可能であれば動物モデルを構築し、明らかとなったmicroRNAの発現変化を血球異常症との関係を詳細に解析する方向である。
|
Causes of Carryover |
赤血球内から充分量にmiRNAが抽出できたため、質のよいcDNAライブラリーが作成でき、テクニカルエラーが少なかったことが理由である。持ち越し分に関しては、動物モデルの作成に尽力する予定である。
|