2018 Fiscal Year Research-status Report
貯蔵血中の赤血球膜骨格の変化と老化との関連:安全な輸血管理のための戦略
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17K11096
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
市川 順子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60318144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 万希子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60178332)
小高 光晴 東京女子医科大学, 医学部, 臨床教授 (90280635)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 赤血球変形能 / 濃厚赤血球製剤 / 自己血製剤 / 保存血液 |
Outline of Annual Research Achievements |
濃厚赤血球の貯蔵期間が長くなるほど、貯蔵赤血球膜の変形能低下、2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3DPG)の低下、カリウム濃度の上昇などがみられる。そこで、濃厚赤血球製剤(MAP)と自己血製剤の貯蔵期間中の変化を観察した。MAPと自己血の貯血後5日(基準値)から35日までのアデノシン三リン酸(ATP)、2,3DPG、乳酸などの生化学的変化および、赤血球膜変形能、赤血球恒数を7日毎に測定し、各変化を基準値と比較した。赤血球膜変形能は、回転によるずり応力によって赤血球を変形させ、レーザー光線の回折像を用いて解析した。貯蔵期間中に赤血球膜変形能は、時間依存性に低下し、MAPは自己血に比較して膜変形能が有意に低下した。ATP濃度は貯血後12日までは増加し、その後減少に転じ、2,3DPG、乳酸値が基準値と比較して有意に変化し、こうした変化はいずれも自己血に比較してMAPで著明であった。貯蔵期間中のATP濃度の低下は、乳酸の貯留によるpH低下が解糖系回路を低下させ、代償的に2,3DPGを利用した可能性がある。貯蔵期間中のATPが高値にもかかわらず、MAPでは変形能が有意に低下した。変形能にはATPのみならず、NOや抗酸化作用など他因子が影響すると考えた。さらに、貯蔵バック中の溶媒の違いにより赤血球膜を通過する陽イオン勾配に相違が生じ、さらにMAPの放射線照射が赤血球の大きさや密度に影響を与え、変形能の違いが生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究を統括すると、心臓手術中の濃厚赤血球製剤投与による循環血液中の赤血球の変化は、貯蔵血中の変化に関連することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得たデータをもとに統計解析を行い、生じた結果に基づいて考察し、論文執筆を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
(理由)購入したい物品を請求すると予算を上回るため、次年度に請求することにした。
(使用計画)英文校正、多変量解析など統計解析依頼、試薬やコンピュータ購買などの代金を請求予定としている。
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Research Products
(9 results)