2017 Fiscal Year Research-status Report
μオピオイド受容体作動薬の分子薬理学的プロファイルを解明し臨床応用する
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17K11105
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山崎 光章 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (70158145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40318613)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オピオイド鎮痛薬 / cAMP / β-arrestin |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、培養細胞を用いた各種ミューオピオイド受容体作動薬の生化学的プロファイルを明らかにする目的で、研究分担者である成田 年教授の指導の下、星薬科大学薬理学教室にて研究のセットアップを行った。はじめに、ミューオピオイド受容体を過剰発現させた培養細胞を用い、各種ミューオピオイド受容体作動薬のcAMP 動態の経時的測定を行ったところ、濃度依存的な cAMP レベルの減少が認められた。一方、Gタンパク質を介さないセカンドメッセンジャーである β-arrestin に着目し、各種ミューオピオイド受容体作動薬を処置した際の β-arrestin のミューオピオイド受容体への膜移行の定量を行った。その結果、著明なβ-arrestin の膜移行が認められた薬物とβ-arrestin の膜移行がほとんど認められない薬物に大別された。このように、個々のミューオピオイド受容体作動薬を比較すると、細胞内シグナル伝達のうち、cAMP (Gタンパク質依存的シグナル) とβ-arrestin (Gタンパク質非依存的シグナル) をそれぞれ介するバイアス比が異なることが明らかとなった。このような条件下、予備試験により、各ミューオピオイド受容体作動薬の併用により、同様に検討を行ったところ、前処置する薬物の種類およびタイミングの違いにより、薬物固有のバイアス比が変化することが見出された。一方、富山大学では、論文検索による情報収集から、近年の報告でのligand-biased efficacy 説による個々のミューオピオイド受容体作動薬の差別化や副作用比の算出方法に関する条件検討を行い、臨床への還元を念頭に置いた各種ミューオピオイド受容体作動薬の薬物固有バイアス比の解析方法を検討した。今後、星薬科大学にて行った実験評価系の一部を富山大学においてもセットアップし、薬物の副作用比やバイアス比の算出を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
富山大学において本年度中に各実験のセットアップを行う予定であったが、実験システムの確立および評価系の技術習得に時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの予備検討の成果から、実験が高い精度で遂行可能なことや、個々のリガンドの評価から、ミューオピオイド受容体作動薬の細分類化が可能であることが明らかとなった。今後は、富山大学において本実験評価系のセットアップを行う。現状の遅れは十分に取り戻せると考えられる。引き続き、星薬科大学薬理学教室のスタッフの指導を受けながら、次年度の課題の遂行と共に並行して行う。 また、研究計画の通り、次年度には、動物を用いた in vivo 実験 (鎮痛効果の評価、消化管機能の評価、依存性の評価など) についても、すでに実験系が確立されている星薬科大学薬理学教室と協力し、成田 年教授の指導の下、引き続き検討を進めていく。 また、今回使用した薬物以外の他のミューオピオイド受容体作動薬の評価の検討も星薬科大学薬理学教室と協力しながら進める予定である。
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