2017 Fiscal Year Research-status Report
内側不安定型膝関節症誘導モデルマウスの疼痛メカニズムの解明
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17K11108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 亜矢子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70444544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井浦 晃 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (40467551)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膝関節不安定型膝関節症 / 痛覚過敏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マウスのOAモデル作りを中心に研究を遂行した。モデルマウスとして関節不安定型膝関節症誘導モデルマウスを採用した。具体的には、5週齢雄性ddyマウスをセボフルランで麻酔し、顕微鏡下に右後肢の内側半月板全切除術を施行した。OAマウスの疼痛観察としてKnee-bend ScoreをLinton社製Incapacitance testerを用いて計測した。これまでの文献より、左側後肢を健側とし、患側が健側の70%以下になった場合を有意差ありと判定した。本モデルマウスは、術後4週間と比較的早期にOAが誘発されると報告されているため、術後4週後でweight bearing測定を行った結果、有意差を認めなかった。そこで、さらに術後6週、10週でも同様の計測を行ったところ、術後10週では健側に比較し患側では有意に荷重の割合が減少していた。現在、さらに観測期間を7週後、8週後にも行うことで、OAマウスの疼痛の発症時期についてより詳細な検証を行っている。 また、マウス後肢足底における疼痛閾値の過敏性について、熱刺激および機械刺激に対する閾値をそれぞれ、熱刺激鎮痛効果測定装置(IITC 390型)およびVon Frey式圧覚閾値測定装置(UGO BASILE社37450)を用いて測定し検証した。術後10週のマウスの患肢では機械刺激に対する閾値の低下がみられた。現在、さらに詳細に統計学的解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
OAモデルマウスの疼痛発症時期が、報告されているOA発症時期とすれており、次の電気生理学実験を行うマウスの適切な週齢を決定するのに時間がかかっている。電気生理学実験は、脊髄スライスの細胞の状態をいかによい状態で保つかが実験の成功のカギを握るが、神経細胞は週齢がたつほど生存状態が悪くなるため、当モデルマウスを用いた脊髄における神経伝達の評価を適切に行う週齢数を検討するのに時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスのOAモデルで、患肢の膝の痛みの解析が進んだため、膝痛モデルとしての確立が進んだと考えられる。 次年度以降はこのモデルマウスを用いて、膝痛発症のメカニズムについて、主として電気生理学実験を行い、脊髄レベルにおける神経伝達の変化について検証し、メカニズムに沿った治療法の開発に向けて、ターゲットとなる分子の検索を行う。
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Causes of Carryover |
当初初年度に購入予定であったIncapacitance testerは金額が大きいため、他研究グループよりレンタルさせていただき使用することが可能となったため、物品費は主として実験動物の購入金額に当てられた。ただし、進行具合の欄でも述べたように、適正な実験条件を決定するために、当初予定していたより必要なマウスの購入数が増加したため、その分に当てることとした。次年度以降は電気生理学実験を主体に予定しているため、動物の購入および試薬購入に使用予定である。また、動物実験施設使用料等はその他の項目で計上しているため、次年度も当初の予算を上回る可能性が極めて高いと考えられる。
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