2017 Fiscal Year Research-status Report
IoTとAIで実現する患者習熟度に応じて最適化するバーチャルリアリティ鏡治療
Project/Area Number |
17K11109
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 健治 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70359884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 孝 岡山大学, 大学病院, 助教 (10423328)
五福 明夫 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20170475)
杉原 太郎 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50401948)
賀来 隆治 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (50444659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / 難治性疼痛 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が開発したこれまでのバーチャルリアリティ(VR)鏡治療では、治療内容は患者の習熟度が向上しても変化しなかった。同じ治療タスクの繰り返しでは患者の治療意欲の維持が難しい。当該研究では、IoT(モノのインターネット)とAI(人工知能)により、患者の症状と習熟度に応じた治療タスクのカスタマイズ(最適化)や、患者の治療意欲の向上に有効な激励・教育を行うシステム開発を目指す(研究①)。一方VR鏡治療の開発当時はヘッドマウンテッドディスプレー(HMD)を含めたVR関連技術が発展途上であり、バーチャル酔いなどの問題で疼痛患者への導入は尚早だと考えた。しかし昨今のVR技術の進歩は目覚ましく、また普及にともない比較的安価にシステムを構築することが可能となったため、当該研究では、HMDを用いたVR鏡治療システムを開発する(研究②) 研究①:VR鏡治療へ実装する、患者の治療意欲の維持を図るシステムの検討として、平成29年度は、患者の治療成果を視覚化し、フィードバックするシステム(セルフモニタリング・システム)を作成した。そのシステムが単調作業の継続的な実施に与える効果を調べるため、まず、健常者において実験を行った。 この予備実験の結果からは、「ポジショニングの明確化」や「短期目標設定」を用いたセルフモニタリング画面がユーザーの単調作業の継続的実施に有効であることが示唆された。 研究②:現在、VR機器として多くのものが市販されている。我々は、2台のカメラによって使用者の位置情報を検出することで腕が移動するといった動作が仮想空間に反映させることができるHTC vive を選択して、HMDを用いたVR鏡治療システムを開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究①:当該研究の最終的な目標は、IoT(モノのインターネット)とAI(人工知能)により、患者の症状と習熟度に応じた治療タスクのカスタマイズ(最適化)や、患者の治療意欲の向上に有効な激励・教育を行うシステム開発である。平成29年度は特に後者の患者治療意欲の維持にはどのような仕組みの実装が有効であるかの検討に時間を要したため、研究計画全体での進捗状況に遅れが生じてしまった。 研究②:昨今のVR関連機器の進歩は目覚ましく、様々な機器メーカーより多数の製品が発表されている。それぞれの製品で、仮想空間への現実空間での情報を反映させる方法が異なっており、我々の研究対象である、健常者ではない「重篤な痛みを有する難治性疼痛患者」が実施するVR鏡治療システムに最も適した製品を検証することに時間を要した。 さらに、当該年度の中途で、研究責任者の所属機関が変わることとなり、研究会議の定期的開催の再開など、研究体制の整備に時間がかかったことも進捗状況の遅れに影響があったことは否定できない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は、それぞれのシステムを難治性疼痛患者へ導入し、システムが想定通りに稼働するかの検証を行う予定である。IoT&AIで最適化するVR鏡治療では、最適化内容の妥当性や最適化によるアップデートが患者の治療意欲や鎮痛効果、および機能改善などへ及ぼす影響について臨床的な検証を行う。 平成29年度には残念ながら当該研究を予定どおりに進捗させることができず、その一部は平成30年度にずれ込むこととなる。遅れの部分を早急に完成させ、平成30年度以降の研究計画を予定通りにすすめていく。 平成29年度の研究進捗状況の遅れには、研究責任者・所属機関の変更も一因となったが、 現在は研究体制もしっかり整っており、当該研究の予定通りの進捗を目指す。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた研究が計画どおりに進捗せず、遅延が生じてしまった。そのために購入予定物品での予算の使用ができなかった。本年度は初年度に進捗が遅れた部分の研究を計画どおりに早急に実施し、予算を使用する予定である。
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