2018 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌のmTOR阻害剤耐性における癌幹細胞の意義の解明
Project/Area Number |
17K11121
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
沼倉 一幸 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (90566415)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 腎細胞癌 / mTOR阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請課題の目的は、<mTOR阻害剤耐性の腎細胞癌における癌幹細胞の意義を調べ、新たな治療戦略を構築すること>、である。そのため、以下の3項目を具体的な目標と研究を行った。①腎細胞癌のmTOR阻害剤耐性における癌幹細胞の役割を確認する。②癌幹細胞で重要な役割を果たし、かつ治療標的となりうる分子をin vitroおよびin vivo解析系で絞り込む。③上記の治療標的分子をターゲットとする薬剤および既知の癌幹細胞関連薬の効果を検討し、臨床応用につながる知見をえる。 実際には目的を達成するため、広く腎細胞癌(RCC)に関連する研究に研究費を用いた。内容は以下。①RCCにおける癌および脂肪由来幹細胞の基礎的研究。②RCCにおける薬物療法の最適化。③RCCの後方視的臨床研究。それぞれについて実績の概要を記載する。 ①RCCにおける癌および脂肪由来幹細胞の基礎的研究:3つの基礎的研究を行っている。1)mTOR阻害薬耐性RCCにおける癌幹細胞の意義に関する研究、2)腎細胞癌の腫瘍微小環境における脂肪由来幹細胞の働きの解明と新たな治療戦略の開発、3)RCCにおける癌幹細胞のコネキシンによる制御機構の解明。えられた知見の一つは2018年アメリカ泌尿器科学会および2019年ヨーロッパ泌尿器科学会で発表した。 ②RCCにおける薬物療法の最適化:保険適応の薬剤の治療最適化に関する知見を、研究代表者が筆頭著者で2編の英語論文を発表し、アメリカ泌尿器科学会など海外学会で多数の発表を行った。また、研究成果をもとにsunitinibの血中濃度測定が2017年度より保険診療として認められた。 ③RCCの後方視的臨床研究:研究代表者が筆頭著者で1編の英語論文を発表し、多施設共同研究として5つの研究が進行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請課題にとどまらず、広く腎細胞癌(RCC)に関連する研究を行い相応の成果をえており、順調に進展していると判断する。 ①RCCにおける癌および脂肪由来幹細胞の基礎的研究:3つの基礎的研究を行っている。1)mTOR阻害薬耐性RCCにおける癌幹細胞の意義に関する研究、2)腎細胞癌の腫瘍微小環境における脂肪由来幹細胞の働きの解明と新たな治療戦略の開発、3)RCCにおける癌幹細胞のコネキシンによる制御機構の解明。①は申請者が、②および③は大学院生が主に研究を行い、申請者が指導している。成果はアメリカ泌尿器科学会で発表した。Numakura, et al.(2018) Cancer stem cell feature can induce resistance to mTOR inhibitors via the Notch pathway in renal cell carcinomas. ②RCCにおける薬物療法の最適化:保険適応の薬剤の治療最適化に関する知見を、研究代表者が筆頭著者で2編の英語論文を発表した。1)Numakura K et al.(2018) Oncotarget, 9, 5277-25284、2)Numakura K et al.(2017) C Anticancer Drugs., 28, 97-103 ③RCCの後方視的臨床研究:研究代表者が筆頭著者で1編の英語論文を発表した。多施設共同研究として5つの研究が進行中である。1)Numakura K et al.(2019) Mol Clin Oncol, in press。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究が計画通り進まない場合として、癌幹細胞の特異的な標的分子が特定できない可能性がある。しかし、申請者らは、preliminaryな結果ではあるが、Notch経路がmTOR阻害剤耐性RCCで高発現しているとの結果を既にえており、標的分子を特定できる可能性は高い。 また、癌幹細胞以外にも、mTOR阻害剤耐性RCCでミトコンドリアの呼吸予備能が増加する現象を見出している(unpublished data)。mTOR経路とミトコンドリアの関係は、ほとんど調べられておらず、本研究に負けず劣らず興味深いテーマであり、新たな生命現象を明らかにできる可能性がある。
|
Causes of Carryover |
予定していた物品の購入が遅れたため、次年度に使用することとなった。
|
-
-
[Presentation] CLINICAL IMPLICATIONS OF SUNITINIB AND N-DESETHYL-SUNITINIB PLASMA CONCENTRATIONS FOR TREATMENT OUTCOME IN METASTATIC RENAL CELL CARCINOMA PATIENTS.2019
Author(s)
Numakura, K., Fujiyama, N., Takahashi, M., Tsuruta, H., Maeno, A., Saito, M., Inoue, T., Narita, S., Huang, M., Satoh, S., Niioka, T., Miura, M., Habuchi, T.
Organizer
34th Annual EAU Congress in Barcelona, 15 - 20 March 2019.
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Cancer stem cell feature can induce resistance to mTOR inhibitors via the Notch pathway in renal cell carcinomas.2018
Author(s)
Numakura, K., Novac, J., Pignon, J. C., Choueiri, T., Sabina, S.
Organizer
The 113th Annual Meeting of the American Urological Association, May, San Francisco, CA, USA
Int'l Joint Research