2017 Fiscal Year Research-status Report
土壌抗酸菌細胞壁成分の糖脂質によるアジュバント製剤の開発
Project/Area Number |
17K11124
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
宮崎 淳 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (10550246)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 友和 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10633191)
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
神鳥 周也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50707825)
矢野 郁也 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 名誉教授 (60047008)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 癌免疫治療 / mycobacterium bovis BCG / ミコール酸 / TDM / Mincle |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌抗酸菌細胞壁成分の糖脂質によるアジュバント製剤の開発。筋層非浸潤性膀胱癌には抗酸菌であるMycobacterium bovis BCG膀胱内注入療法が行われる。以前、我々は親水性カチオニックリポソームによるBCG細胞壁の製剤化を試み、細胞親和性を高め、癌細胞質内に菌体細胞壁脂質成分を効率的に輸送できる製剤を開発した(特許第6238366号)。これによりラットBBN発癌モデルにおいて、抗腫瘍効果が示されることを報告し、BCG生菌でなくとも、BCG細胞壁成分に抗腫瘍効果があることを証明した。その最大の免疫賦活細胞壁成分は、天然では疎水性の極めて強い長鎖脂肪酸のミコール酸を含んだ糖脂質trehalose-6 6’-dimycolate(TDM)と考えられる。TDMはActinomycetalesに属するすべての土壌細菌により合成される機能性脂質分子であり、宿主免疫細胞表面に発現するC型レクチンのMincleにより認識される。そのため、近年アジュバント製剤としての可能性が考慮されているものの、結核菌TDMは毒性があり疎水性も強いため、製剤開発が出来なかった。そこで、TDMをリポソーム化し親水性にすることで、新規アジュバント製剤を開発し、新しい癌免疫治療の提案を行う。TDMの構成成分であるミコール酸は、α、ケト、メトキシに分離でき、そのうちケトミコール酸に抗腫瘍活性があることが判明した。リポソーム化の方法を確立し、その内容について、現在論文投稿中である。さらにそのリポソーム化の方法は、昨年特許申請した【発明名称】リポソーム、抗癌剤及び癌治療用キット【出願番号】特願2017-042228は、今回さらにPCT出願した【発明の名称】リポソーム、抗癌剤及び癌治療用キット【出願番号】PCT/JP2018/008560【整理番号】17-P30。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミコール酸の抽出およびリポソーム化の方法についてはほぼ確立できた。電荷もデンドリマーを追加することで、陽電位にすることができ、マイナス電位である膀胱上皮細胞により親和性を保つことができるようになった。しかし、デンドリマーはD12では効果がなく、D22を使わないと効果が得られないこともわかった。ミコール酸はα、メトキシ、ケトの3分画からなるが、どの分画がもっとも免疫活性が強いか検討した結果、ケトミコール酸リポソームに強い抗腫瘍効果を認めた。これらの内容をまとめて、現在論文投稿中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
ケトミコール酸の活性が最も強いことが判明したことから、TDMの構成成分であるミコール酸もケトミコール酸のみのTDMが抽出できるか検証する。TDMにおいてケトのみのミコール酸が抽出できれば、最も活性の強いTDMを抽出できる可能性が示唆される。さらに、今後は抗腫瘍活性のメカニズムを解明するため、TDMのリセプターであるMincleノックアウトマウスを用いて、抗腫瘍効果の活性評価を行う。Mincleレセプターが活性に関与していることが確定できれば、新しい癌免疫治療の開発につながると考えられる。
|
Causes of Carryover |
本年度、購入予定の物品が在庫不足だったため、予算を執行できませんでした。翌年度になり次第、前年度購入予定のものを発注、購入し、予算の執行を行います。
|
Research Products
(4 results)