2017 Fiscal Year Research-status Report
新規のチェックポイント阻害薬による腫瘍内免疫疲弊解除機構の解明
Project/Area Number |
17K11137
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 医員 (20733322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 保友 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20237572)
荒木 元朗 岡山大学, 大学病院, 講師 (90467746)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (90537218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | チェックポイント阻害薬 / REIC/Dkk-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、癌免疫療法においてT細胞疲弊(T-cell exhaustion)という抗原特異的な細胞障害性T細胞の機能喪失及び細胞死という現象が注目されている。しかしながら、疲弊分子すべてを抗体のみで阻害することは難しく、また抗体併用投与による全身的な免疫活性化に起因した副作用も懸念されている。 岡山大学グループでは、2型糖尿病薬メトホルミンが上記抗体と同様の作用を示すことをマウス腫瘍移植モデルにおいて実証している。さらに、我々のグループではREICタンパクが抗原提示様細胞を誘導し、放出された癌抗原を T 細胞に提示し,抗原提示を受けたT細胞が活性化され抗原特異的細胞障害性 T 細胞(CTL)に分化することで抗腫瘍効果を発揮することも実証している。本申請研究では、新規のチェックポイント阻害薬(メトホルミン)による腫瘍内免疫疲弊解除機構の解明に加えて、MDSCなどの抑制性免疫細胞の動態を解明する予定である。さらに、REICタンパクと併用することで複合免疫療法としての免疫学的基盤の確立を目指す予定である。本年度の研究では、尿路性器癌(腎癌、前立腺癌、膀胱癌)、特に去勢抵抗性前立腺癌株(RM-9)においては、メトホルミンが直接作用を示さないことをin vitro実験で確認した。一方で、in vivo実験においては、RM-9を移植したマウスにメトホルミンを飲水投与した場合、著明な抗腫瘍効果があることを実証した。難治性癌である去勢抵抗性前立腺癌に対して、治療効果があることは新たな発見であり、今後はこれらの解析を基づき、in vivo実験で腫瘍内、リンパ節内、血液中の様々な免疫細胞の動態を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尿路性器癌において、新規の免疫治療薬による抗腫瘍効果の検討に関する基盤研究が実施され、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規の免疫チェックポイント阻害薬であるメトホルミンとREICタンパクを用いたがん免疫治療において、従来の免疫チェックポイント阻害薬と同等もしくはそれ以上の治療効果を確認し、免疫細胞の動態を解明することを目標にする。具体的には、独自のマウス腫瘍モデルにおいて、腫瘍内、リンパ節内、血液中の様々な免疫細胞の動態を解析することに加え、複合免疫治療の合理性を判断する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究において、in vitroにおいてメトホルミンの作用機序を様々な腫瘍細胞で検証した。予定と比べて未使用額が生じたのは、in vivoでの免疫細胞動態を検証するまで実験が進まなかったためである。今年度の未使用額を平成30年度分にあてがい、引き続き研究目的の達成に向け実験を遂行する予定である。薬剤を投与した状態で、in vivo免疫細胞の動態を検証する計画である。
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