2017 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌幹細胞を標的とした新規遺伝子治療戦略の確立
Project/Area Number |
17K11138
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黄 鵬 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00610841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 保友 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20237572)
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 医員 (20733322)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (90537218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 癌幹細胞 / REIC/DKK-3 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の研究開発において、癌幹細胞を標的とする新規治療法の開発は重要な中心課題となっている。本研究では、遺伝子治療におけるオートファジー細胞死の誘導の最適化の観点から、難治性前立腺癌に対するがん幹細胞を標的とする新規オートファジー誘導遺伝子治療法の創成基盤の確立を目指している。当該年度は、 1)マウスiPS細胞の培地過程中にはマウス前立腺癌細胞RM-9の培養上清と正常iPS培地1:1混合し、35日間培養することにより、マウス前立腺癌幹細胞を樹立した。さらに、新規樹立した細胞は自己復性能、多分化能を有しており、がん幹細胞としての性質を獲得した細胞であることを示した。また、幹細胞の遺伝子発現性や腫瘍形成性を行った。 2)新規前立腺癌幹細胞に対するがん幹細胞の自己複製を阻害剤BBI608のin vitroでの細胞・腫瘍増殖抑制効果の観点から解析を行った。 3)新規前立腺癌幹細胞に対するREIC遺伝子発現アデノウイルスベクターのin vitroおよびin vivoでの細胞・腫瘍増殖抑制効果の観点から解析を行った。Ad-REICの抗癌作用に基づく小胞体ストレス応答に関する機序を解明し、その有効性を検証した。 4)人工作成したマウス前立腺癌幹細胞にREIC/Dkk-3遺伝子ベクターを作用させ、1分、30分、1時間、6時間、24時間後細胞内タンパク質を抽出し、特異的siRNAによりノックダウンさせ、遺伝子-タンパク質発現変動をマイクロアレイやタンパク質抗体アレイ等により解析した。また、Western blot法によりERストレスおよびCa2+ シグナリングパスウェイ内の各種タンパク質(ATF6 IRE1,XBP1,ATF4,EIF2, Bip)およびそのリン酸化の動態解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度予定していたがん幹細胞におけるREIC遺伝子ベクターの抗癌作用の機序検討は予定通り実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年に引き続き、外源性REICより小胞体ストレス応答に基づく癌幹細胞に標的治療のメカニズムの一端を解明するため、癌幹細胞マウスモデルに対するREIC/DKK3遺伝子の有効性を検証する。さらに、我々の確立したREIC/Dkk-3ノックアウト(KO)マウスを用いた実験系では、生体内の内在性・機能的REIC/Dkk-3タンパク質の影響を回避することが可能であるため、REIC遺伝子発現アデノウイルスベクターのin vivoでのオートファジー誘導腫瘍増殖抑制効果の解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初計画していた次世代シークエンサーを、次年度に行うよう計画を変更した。また、当初の予定より物品を安く購入できたため、未使用額が生じた。 未使用額は、次年度の次世代シークエンサーに関する網羅的解析の費用に充てる予定である。また、次年度は予定通り外源性REICより小胞体ストレス応答に基づく癌幹細胞に標的治療のメカニズムの一端である癌幹細胞マウスモデルに対するREIC/DKK3遺伝子の有効性などを検討する。そのための抗体購入費用や予定している実験に使用する試薬の購入費用および論文発表のための費用などに使用する。
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