2018 Fiscal Year Research-status Report
前立腺がん細胞におけるCUL3システム破綻の解明と新規治療標的の創出
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17K11142
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菊川 忠彦 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (70444734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雑賀 隆史 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (10314676)
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 前立腺がん / ユビキチンリガーゼ / SPOP / 質量分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺がんと正常組織のエキソーム配列決定から、前立腺がんの約15%にSPOP変異が認められ、この変異が前立腺がんの新しい分子サブタイプの特徴となっている。SPOPはCullin3(CUL3)型E3ユビキチン(Ub)リガーゼ複合体の構成成分であり、基質特異性を決定する重要な機能を担うが、変異SPOPは基質結合能を失うと考えられている。しかし、変異SPOPを持つ前立腺がん細胞での基質タンパク質の量的変動の実態は明らかにはされていない。そこで平成30年度は、平成29年度までに探索・同定したSPOPの基質候補分子の中から、パブリックデータベースThe Human Protein Atlas (https://www.proteinatlas.org)を用いてヒト前立腺がん組織で発現が確認できる基質候補分子124種を選別した。この124分子全てのリコンビナントタンパク質を作成し、質量分析で検出可能なペプチド(プロテオタイピックペプチド)の決定を試み、各タンパク質のトリプシン分解物解析から101分子について決定した。残り23分子については、キモトリプシン分解物解析からプロテオタイピックペプチドの決定を進めている。また、決定できた101分子について、そのプロテオタイピックペプチドをタンデムに繋ぎ合わせた人工タンパク質をコードするcDNAをデザインし、これを合成した。現在、当該合成cDNAを鋳型としてコムギ胚芽細胞タンパク質合成系で安定同位体標識人工タンパク質QconCAT (Quantification Concatamer)を合成している。これを絶対定量用標準タンパク質として用いることで、SPOPの基質を定量するシステム確立し、これを用いてSPOPの基質タンパク質の量的変動の実態を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、これまでの成果を基に、ヒト前立がん組織に発現が確認できたSPOPの基質候補124分子全てのリコンビナントタンパク質の合成、並びに質量分析を終えることができた。その結果、124分子中101分子において、そのイオン化ペプチドを同定できた。この情報を基に定量用の安定同位体標識標準タンパク質の作成が可能となった。また、これを用いたSPOPの基質候補タンパク質の定量解析法が確立できた。現在、この方法を用いて解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
SPOP変異によるSPOP基質候補分子の量的変動の解析を定量的に進め、前立腺がんの進展に大きく関与する基質分子の同定を目指す。
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