2017 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェクポイント分子発現調節による樹状細胞能の変化と抗腫瘍効果に関する研究
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17K11146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立神 勝則 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90380617)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / マクロファージ / 免疫チェックポイント分子 / HVEM |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々が行ってきた臨床研究によるDC療法の安全性を基に、DCと各種薬剤との併用療法による臨床試験を検討しているが、そのためにはより有効なDCによる免疫誘導のためのメカニズムの解析が必要となる。このため、DC上の免疫チェックポイント分子であるHVEMに焦点をあて、その機能解析のためにマウスモデルによる実験を行った。 ・IFN-γ ELISPOT assayによるBMDCによる抗原特異的CTLの誘導と抗HVEM抗体による抗原特異的反応の抑制の確:BMDCをHVEMブロッキングでは、抗原特異的反応は軽度の差を認めるのみであった。 ・mrGM-CSFによるBMDCの誘導とHVEMの発現:IL-4添加した方がよりDC-likeなfractionが多いMHCIIhighCD11bintが増加していた。FACSによる解析では、これらのDC群で有意なHVEM発現は認められなかった。 ・mrFLT3Lを使用したBMDCの誘導とHVEMの発現:CD103+の細胞群が誘導可能であった。これらの細胞群はすべてCD11bhighであり、生体内DCとは異なる細胞と考えられた。これらの細胞群でもGM-CSF±IL-4によって誘導されたDC群と同様に有意なHVEMの発現は認められなかった。 ・マウスBM細胞をGM-CSFで刺激誘導した細胞群の解析:RNAseqやFACSによる解析では、マウスBM細胞をGM-CSFで刺激誘導すると、主に2つのfractionに分化することがわかった。これらの細胞群の2/3前後はMacrophage様細胞 (BM-Mac)、1/3ほどがDC様細胞(BM-DC)の可能性があり、DataBaseからは、BM-MacはHVEMを軽度発現し、BM-DCはHVEM発現している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DCやmacrophageなどのAPCの細胞群には様々なphenotypeが存在し、マウスやヒトなど種によって異なる。今回の実験では、これまでAPCとして広く使用されていたマウス骨髄細由来のBMDCにはHVEMの発現を異にするDC様細胞やmacrophage様細胞などのphenotypeが存在することが解明された。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトPBMC由来DCのsingle cell RNAseq(GSE94820)では、ヒト末梢血中のDCでHVEMの発現は確認されている。HVEMの発現と正の相関を認める遺伝子としてCD84、XCL2、MICA(相関係数0.6)、CD103(相関係数0.4)など免疫系のmarkerもあるため、translational researchの観点から考えヒト由来のDCにおけるHVEMの意義についての機能解析を行う必要がある。 また、マウスの系による実験ではGM-CSFによって刺激して得られたHVEM陽性細胞群がmacrophage様細胞の可能性があり、macrophageにおけるHVEM発現の意義についても興味深い。抗腫瘍免疫に抑制的に作用するTumor-Associate Macrophage(TAM)に関しては、マウスモデルにおいてHVEMはマウスTAMに発現していることがわかっている(GSE101995)。TAMにおけるHVEMによる免疫抑制系のメカニズムに関しても解析予定である。
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Causes of Carryover |
実験に必要な消耗品を購入予定である
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