2018 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェクポイント分子発現調節による樹状細胞能の変化と抗腫瘍効果に関する研究
Project/Area Number |
17K11146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立神 勝則 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90380617)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / 樹状細胞 / 免疫チェクポイント分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス骨髄細胞をGM-CSFで刺激誘導した抗原提示細胞(APC)上のHVEMを中和抗体でblockingしてCTLを誘導した場合、blockingしていないAPCと比較してペプチド及び腫瘍に対するCTLの誘導が増強されることが確認された。これによりマウス骨髄細胞をGM-CSFで刺激誘導したAPCによるCTLの誘導はHVEMによって増強される可能性が示唆された。 しかし、マウス骨髄細胞由来のMacrophage及びDCに関する研究では、マウス骨髄細胞をGM-CSFで刺激誘導すると主に2つのfractionに分化し、2/3前後はMacrophage様細胞(BM-Mac)、1/3ほどがDC様細胞(BM-DC)であり、解析ではBM-MacはHVEMを発現し、BM-DCはHVEM発現がなかった。このため、我々が行ったマウス骨髄細胞をGM-CSFで刺激誘導したAPCに対するHEVEMの効果はBM-Macに対する効果であった可能性がある。 最近のBioinformaticsによるDC関連の知見として、in vitro cultureで誘導したDCと生体内のDCは遺伝子発現プロファイルが違い、異なる細胞とみなされている。我々の目的は、ヒトPBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells)から培養したAPCを改変し効果的な抗腫瘍免疫を誘導することであるが、PBMC由来のAPCにもいくつかのphenotypeが存在し、それぞれが異なる作用を有することが予想される。現在、免疫チェックポイント分子に着目してPBMC由来のAPCのphenotypeを確認するとともに、培養細胞およびdatabaseを使用した免疫チェックポイント分子の発現及びその効果を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DCやmacrophageなどのAPCの細胞群には様々なphenotypeが存在し、マウスやヒトなど種によっても異なる。これまでの実験では、DCとして広く使用されていたマウス骨髄細由来のAPCにはHVEMの発現を異にするDC様細胞やmacrophage様細胞などのphenotypeが存在することが解明され、macrophage様細胞にもAPCとしてCTLの誘導能があることが確認された。 また、これまでの研究に使用したヒトPBMCからのDCでは、末梢血から密度勾配遠心法によって分離した細胞をGM-CSFとIL-4を用いて未熟DCを培養し、TNF-αとPGE2によって成熟DCを誘導していた。PBMCから誘導したDCは培養の過程でCD14陽性からCD14陰性の細胞へと変化するが、PBMCにはCD14陽性細胞とCD14陰性細胞が含まれ、PBMC由来の培養細胞群にはマウス骨髄細胞由来のAPCと同様にいくつかのサブセットが存在する。このため我々はPBMC由来のAPCのphenotypeと免疫チェックポイント分子の発現について詳細な調査を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトPBMC由来のAPCについて、PD-L1に代表される既存の免疫チェックポイント分子に関するin vitroでの解析とともに、その他の発現分子についてRNA sequenceによる解析と機能解析を行う予定にしている。また、APC phenotypeとAPC上の免疫チェックポイント分子の発現に関してin silicoによる探索を同時に進める。 1;single-cell RNAseqのDataBaseを参照して解析;DC関連の知見として、in vitro cultureで誘導したDCと生体内のDCは遺伝子発現プロファイルが異なる細胞とみなされている。またsingle-cell-RNAseqにより、ヒト末梢DCサブセットは7種類に分類される。DBに登録されているヒト末血DCのsingle-cell RNAseqを使用し(Villani AC et al. Science 2017)、DCのサブセットと標的分子を絞り込む。 2;BM-DCの制御遺伝子の網羅的解析Dataを利用した解析;BM-DCに関してCRISPRライブラリを用いたBM-DCの全遺伝子網羅的解析(Parnas O et al. Cell 2015)が報告されている。本研究を参考にBM-DC上の候補遺伝子を抽出する。 3;effetor T cellのRNAseqからDC-T cellの相互作用を解析;effector T細胞によってDCに発現したCD70とCTLのCD27の相互作用によって、CTLの細胞障害活性が増強することを確認した研究(Ahrends T et al. Immunity 2017)では、T cell-DC interactionの有無でCTLのRNAseqを比較している。この研究を参考に、T cell-DC interaction によるDCのRNAseqを比較し候補遺伝子を抽出する。
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Causes of Carryover |
研究に必要な物品を次年度使用予定です
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