2017 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目指したマルチターゲット型去勢抵抗性前立腺癌治療薬の開発
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17K11151
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
遠藤 智史 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (60433207)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 創薬科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は以下の項目について明らかにした。 1. AKR1C3阻害剤の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)における有効性の検証:これまでに見出していたAKR1C3阻害活性を有するクロメン骨格を有する化合物をリードとし、構造最適化を行った。構造活性相関からクロメン環の8位水酸基が強力なAKR1C3阻害活性に必須であることが明らかとなったため、8-ヒドロキシクロメン誘導体を新たに24種合成した。これらの中で最も強力な阻害活性を示した化合物はIC50が9.1 nMと強力な阻害活性を示した。新規AKR1C3阻害剤はアンドロゲン依存性前立腺癌22Rv1細胞におけるアンドロゲンシグナルの抑制、アンドロゲン非依存性前立腺癌PC3細胞におけるプロスタグランジン関連シグナルの抑制を介して増殖抑制効果を示した。また新規AKR1C3阻害剤は強力なAKR1C3阻害活性に加えて、ヒドロキシフルタミドほどではないもののARアンタゴニスト活性を併せ持ち、アンドロゲンシグナルを複数のステップで阻害できる化合物の初めての例である。さらに、既存のCRPC治療薬(アビラテロン、エンザルタミド)との併用によって顕著にアポトーシスを誘導し、既存CRPC治療薬の作用増強が可能になることが示唆された。
2. AKR1C3阻害剤の抗癌剤耐性克服効果の検証:22Rv1細胞に添加するカバジタキセル濃度を2-3継代ごとに上昇させることによって、カバジタキセルに対して親細胞株よりも低感受性のカバジタキセル耐性細胞株(22Rv1/Cab-R)を樹立した。樹立した細胞株を用いて今後AKR1C3阻害剤の効果を検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では、マルチターゲット型AKR1C3阻害剤の臨床応用の実現に向けて、AKR1C3阻害剤の有効性を評価することを目的としている。一部平成30年度以降に予定していた新規AKR1C3阻害剤の活性評価は平成29年度内に終了し、29年度中に特許出願に至ることができた。30年度に得られることが予想される研究成果については1年以内に特許に追加していく予定をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規AKR1C3阻害剤の前立腺癌細胞に対する抗癌活性については一定の評価を終了することができている。そのため、30年度以降はAKR1C3阻害剤のさらなる有効性を提示すべく、既知阻害剤との活性比較や抗癌剤耐性克服効果の検証などを行っていく予定をしている。
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Causes of Carryover |
30年度以降に予定している研究項目に対する消耗品費が減額されていたため、比較的in vitroの試験系が多かった29年度は節約し、30年度以降に使用することで研究全体を達成できるように調整した。
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