2018 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目指したマルチターゲット型去勢抵抗性前立腺癌治療薬の開発
Project/Area Number |
17K11151
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
遠藤 智史 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (60433207)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | AKR1C3 / 抗癌剤耐性化 / Nrf2 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は以下の項目について明らかにした。 1.AKR1C3阻害剤の去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)における有効性の検証:前年度にアンドロゲン依存性前立腺癌細胞増殖における新規AKR1C3阻害剤の有効性を実証したため、今年度はアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞増殖に及ぼす影響を検討した。新規AKR1C3阻害剤はアンドロゲン受容体(AR)を発現しない前立腺癌PC3細胞の細胞増殖を抑制し、その機構としてAKR1C3によるプロスタグランジン代謝の抑制が考えらえた。また、前立腺癌22Rv1細胞をヌードマウス皮下に移植したゼノグラフトモデルを作製し、AKR1C3阻害剤を腹腔内投与したところ顕著な抗腫瘍効果が認められた。病理解析によって腫瘍組織では約40%の細胞がネクローシスを起こしていた一方で、肺、肝臓、腎臓ではこのような変化は認められなかった。このことから、新規AKR1C3阻害剤は比較的安全性の高い化合物であると考えられる。 2.AKR1C3阻害剤のCRPC耐性克服効果の検証:カバジタキセル耐性細胞株(22Rv1/Cab-R)に加えて、アパルタミド耐性細胞株(22Rv1/Apa-R)を樹立した。22Rv1/Cab-Rでは核内NF-E2 related factor 2 (Nrf2) 量の増加とNrf2酸化ストレス応答系の亢進を誘起した。22Rv1/Cab細胞のCab感受性はNrf2のノックダウンによって増強され、22Rv1細胞のCab感受性はNrf2活性化剤sulforaphaneやdimethyl fumarateの添加によって低下したため、Cab耐性克服にNrf2シグナルの制御が有効であると考えられた。また、22Rv1/Apa-Rにおいて、AKR1C3を含めたNrf2下流シグナルの亢進が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では、マルチターゲット型AKR1C3阻害剤の臨床応用の実現に向けて、AKR1C3阻害剤の有効性を評価することを目的としている。in vitro、in vivoでの抗腫瘍活性評価を終え、その有効性を実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規AKR1C3阻害剤の前立腺癌細胞に対するin vitro及びinvivoでの抗癌活性については一定の評価を終了することができた。そのため、31年度以降はAKR1C3阻害剤のさらなる有効性を提示すべく、これまでに樹立した抗癌剤耐性株を用いて耐性克服効果の検証などを行っていく予定をしている。 また、酵素阻害剤複合体の結晶構造解析についても予備検討が終了しており、次年度内での完了を目指す。
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Causes of Carryover |
30年度以降に予定している研究項目に対する消耗品費が減額されていたため、比較的in vitroの試験系が多かった30年度は節約することで、研究全体を達成できるように調整した。そのため、当初の使用計画からの変更はない。
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