2017 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌における代謝リプログラミングと免疫回避の解析
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17K11156
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
釜井 隆男 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80316562)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 免疫 / Akt / PD-L1 / インターフェロン |
Outline of Annual Research Achievements |
「腎細胞癌における代謝リプログラミングと免疫回避の解析」に関して研究を進めている。癌の代謝リプログラミングにおいては、エネルギーシフトの観点でWarburg効果に注目していますが、臨床的にはFDG-PETが汎用性があり、手術前の患者の腎細胞癌におけるSUVmax値を求めています。また、分子細胞学的にはAktに注目しており、手術検体を用いてリン酸化Aktの発現を検討しています。一方、免疫回避に関してはPD-L1が重要と考え、手術検体を用いてPD-L1の発現を検討しています。リン酸化AktとPD-L1の発現との間には正の相関関係を認めており、さらに、免疫系の中心分子の一つであるインターフェロンラムダ3のsingle nucleotide polymorphisms (SNPs) が、リン酸化AktとPD-L1の発現と関連していることも見出しています。これらの点をまとめて国際誌に発表しました(Nukui A et al. Germline polymorphism of interferon-lambda3 is clinically associated with progression of renal cell carcinoma. Oncotarget. 2018; 9:4188-4199.)。 現在、癌における抗酸化機構と代謝リプログラミングとの関連性に注目し、転写因子であるnuclear factor E2-related factor 2 (Nrf2)の腎細胞癌における役割の検討にも着手しています。現在、手術検体を用いてNrf2の発現を検討していますが、これまでの研究では、低分化癌や局所進行癌ではNrf2の発現が高い傾向が見られており、今後症例数を増やして検討を続けていく予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「腎細胞癌における代謝リプログラミングと免疫回避の解析」にて研究を行わせていただいていますが、代謝リプログラミングにおいては、FDG-PETとリン酸化Aktの発現を検討し、また、免疫回避に関してはPD-L1の発現を検討しました。これらのデータをまとめ、上記国際誌に発表しました。
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Strategy for Future Research Activity |
癌の代謝リプログラミングにおいては、リン酸化Aktはもちろん大きな影響を及ぼしていますが、それ以外にも複数の分子機構が重要な役割を演じています。その一つが、抗酸化機構と代謝リプログラミングへの関わりです。したがって、抗酸化機構において中心的な役割を演じている分子の一つである転写因子のNrf2に注目しています。近年では、癌において、リン酸化AktがNrf2の代謝リプログラミングに関与しているとの報告も散見され、両者の関連性にも注目しながら、Nrf2の研究を進めている最中です。
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Research Products
(1 results)