2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the novel treatment strategy against urothelial carcinoma controlling for cancer stem-like property
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17K11157
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10286552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿路上皮癌 / 癌幹細胞 / 抗癌剤耐性 / シスプラチン |
Outline of Annual Research Achievements |
手術治療された腎盂・尿管癌 153例を対象にPD-1と喫煙歴の関連を検討した。腫瘍中心部におけるPD-1の発現を免疫組織学的に評価し、400倍率の顕鏡下でPD-1染色陽性細胞数が10以下の場合、PD-1低発現群、10を超えた場合にPD-1高発現群と定義した。現喫煙群は52 (34%)、禁煙群は36 (23.5%)、非喫煙群は65 (42.5%)であった。現喫煙症例においてPD-1高発現群の5年癌特異的生存率は50.0%でPD-1低発現群の91.4%と比較して有意に低かった (p=0.001)。また現喫煙症例においてPD-1高発現 (HR: 7.9, p=0.017)は独立して癌死と関連していた。なお腎盂・尿管癌症例におけるCD44v発現とPD-1発現を同時に検討したが関連を認めなかった。 次に、癌幹細胞により強い抗腫瘍効果を示すと報告されている、糖尿病治療薬であるメトホルミンに注目した。ヒト膀胱癌細胞株T24、HT1376のCD44v発現はそれぞれ陽性、陰性であった。T24細胞のみにメトホルミン投与により細胞増殖抑制を認めた。T24細胞においてシスプラチン投与に伴いCD44v陽性細胞の割合は増加し、メトホルミン投与でその割合は低下した。またメトホルミン単剤投与、シスプラチン単剤投与と比較しメトホルミン・シスプラチン併用投与でT24細胞において殺細胞効果の増強が確認された。T24細胞株をシスプラチンで長期間暴露し樹立したシスプラチン耐性T24株(T24PR)においてCD44v発現の亢進を認めた。T24皮下腫瘍モデルを用いてin vivoの検証を行ったがメトホルミン・シスプラチン併用投与で有意な抗腫瘍効果の増強が確認された。以上のことからCD44v陽性細胞を標的としたメトホルミン治療はシスプラチン治療抵抗性尿路上皮癌に対する新規治療となりうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は臨床組織検体を用いた尿路上皮癌幹細胞存在の臨床的意義、抗癌剤耐性膀胱癌株を用いた癌幹細胞の抗癌剤耐性への関与の検証を研究計画としており、それぞれ筋層浸潤性膀胱癌におけるCD44vの予後因子としての有用性、抗癌剤耐性株におけるCD44vの役割について検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は喫煙が癌幹細胞発現や抗癌剤耐性へ及ぼす影響の機序解明、癌幹細胞とPD-1/PD-L1の直接的関連の検証、マウス皮下腫瘍膀胱癌モデルを用いた癌幹細胞を直接ターゲットとした新規治療の効果検証を進める予定である。
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Research Products
(1 results)