2018 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of new therapy for prevention of recurrence of the bladder cancer by macrophage control.
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17K11164
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
能見 勇人 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (80418938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 治人 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40231914)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | BCGマクロファージ / M1マクロファージ / 腫瘍関連マクロファージ / 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、移植免疫における活性化マクロファージ(Mφ)の攻撃(Effector)細胞としての作用について引き続き調査を行った。 マウス腹腔内に細胞移植された同種異型(アロ)細胞により得ることができるアロ活性化Mφ(AIM;Allograft I Induced Macrophage)について、活性化細胞がアロのMeth A腫瘍細胞の場合に、AIMは最も強い細胞障害活性を有し、アロ脾細胞や肝細胞に移植より得られるAIMは、少数であり、さらにMφあたりの細胞障害活性も50%以下と低くかった。一方、物質Xにより、同種同系移植を行った移植Meth A 腫瘍細胞の発育は完全に抑制され、Meth A細胞を移植したBalb/cマウスが約3週間で腫瘍死することと比較し、1年半以上に渡り生存し、約2年のマウスの自然寿命をほぼ全うできることを確認した。なお物質Xは、約2年で老衰により自然死したマウスの腹腔内やはり残存するものの、マウス生命予後にほぼ影響を及ぼさないことも確認できた。 物質Xに、腫瘍関連Mφ(TAM;Tumor Associated Macrophage)が吸着するものと推定しているが、in vivo投与の物質Xの顕微鏡的による表面調査ではMφの吸着が現在のところ確認できず、物質Xによる抗腫瘍効果が、TAM除去以外の機序によるものの可能性も考慮しつつ、物質Xのin vivo実験後の表面調査の方法を再現在検討している。 現在のところの実験結果では物質Xの特性はやはり画期的な強い抗腫瘍効果を持ち、さらに長期間体内に存在しても強い副作用を示さず、画期的な物質であると我々は考えている。さらに調査をすすめ膀胱癌の再発予防や制癌にむけた新たな画期的な治療法の確立をめざしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BCGの腹腔内移植によって得られるBCG-Mφにおいては、BCG-Mφの細胞数はえられるものの、Meth A腫瘍細胞に対する、細胞障害活性はるアロ活性化は腫瘍に比較し、やはり1/2程度であることを再確認した。 またMeth A細胞(H-2d)をC57Bl/6マウス(H-2b)にアロ移植したモデルにおいては、AIMがアロのMeth A細胞を直接噛み切るように破壊(bite off)し傷害することは以前報告したが。このAIMによる腫瘍細胞に対する高い障害活性は、BCG-Mφよりも活性化された段階のMφとしてAIMが存在することを示している。AIMはin vivoのアロ移植実験にて得ることができるものの今後の臨床応用を考えると、AIM投与による抗腫瘍効果を得ることが必要である。このためin vitroでMφの活性化しAIMを確保する方法を確立すべきであるが、in vitroでのAMI作成方法は未確立である。 一方、物質Xの効果について、マウス腹腔内投与で良好であり安全性にも問題ないことは確認できた。物質Xの作用機序といては、腫瘍関連Mφ(TAM;Tumor Associated Macrophage)が物質Xに吸着するものと推定している。しかし、in vivo投与の物質Xの顕微鏡的による表面調査ではMφの吸着が現在のところ顕微鏡的観察では確認できず、物質Xによる抗腫瘍効果が、TAM除去以外の機序によるものの可能性も考慮する必要もでてきた。物質Xのin vivo実験後の表面に付着する細胞の調査の方法を現在再検討しているところであり、物質Xの作用機序に関する解析が予想より遅れており、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
①AIMのようにBCG-Mφ以上にMφの活性化をより高めることができれば、活性化Mφによる抗腫瘍効果は膀胱癌に対する治療として現在臨床で行われるBCG膀胱内注入療法を大きく超える可能性があると推察できるため、宿主マクロファージをアロ細胞などでin vitroで賦活化し、抗腫瘍効果がBCG-Mφより高いAIMを得る方法を確立する。 ②すぐれた抗腫瘍物質である可能性のある物質Xの作用機序をまず明確にしたい。つまり、物質Xの作用機序の明確な証明を行い、画期な膀胱癌に対する画期的な治療法の確立を図りたい。このため、腫瘍細胞移植と物質X投与の時間差についてさらなる追加検証と投与量の再調整を行い、腹腔浸潤細胞のFacsによる解析が有利に行える条件を見出し、物質Xの抗腫瘍効果の機序を明確にしたい。 想定どおりの結果がでれば、まず②によるTAMなどの除去、次に①により得られたAIMの宿主への大量投与を行い膀胱癌モデルに対しても良い効果が得られるかを確認したい。そして、膀胱癌の加療において、Mφ活性化によるM1-Mφの増強と、物質XによるTAMの除去によるつまりM2-Mφの除去による画期な新規治療法を開発したい。 Meth Aでの解析が完了後は、ラットによる膀胱癌細胞の移植モデルを用いて、ラットにおける物質Xの効果の確認とAIM投与の効果の確認を行いたい。さらには、マウスの膀胱癌の自然発癌モデルにおける、抗腫瘍効果についても検討を加えたい。
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