2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K11178
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松川 宜久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30378145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 玲 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70343689)
山本 徳則 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20182636)
舟橋 康人 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70534824)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アディポサイトカイン / 下部尿路機能障害 / 下部尿路症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、前年度の基礎実験の結果をもとに、動脈硬化モデルラット、治療介入群において、ペンシル型CCD生体顕微鏡を用いて、経時的な毛細血管の血流を測定し、組織虚血の評価を行った。 実臨床においては、下部尿路症状を有する症例に対して、自覚症状だけでなく、下部尿路機能障害の程度と各種アディポサイトカインならびに酸化ストレスマーカの関連性の検討を行った。 生命倫理審査委員会による研究承認ならびに、個々の患者に対する同意を得た後、下部尿路症状、具体的にはIPSS(国際前立腺症状スコア)、IPSS-QOL(国際前立腺-生活の質スコア)、OABSS (過活動膀胱症状スコア)、NIH-CPSI (前立腺炎症状スコア)の評価おこなった。また尿流動態検査を行い、蓄尿機能、排尿機能を評価した上で、下部尿路症状ならびに下部尿路機能と、血液中のアディポサイトカインならびに酸化ストレスマーカの関連性について検討した。 現時点においては研究継続中であるが、中間解析の結果として、下部尿路症状に対する自覚症状(IPSS、OABSS)と血中アディポネクチン濃度については、統計学的に有意でなかったものの、負の相関性がみられた。一方、下部尿路機能評価として膀胱出口部閉塞の有無、膀胱不随意収縮の有無を中心に検討を行った。膀胱出口部閉塞のある症例群では、認めない群と比較して、血中アディポネクチン濃度は有意に低く、また膀胱不随意収縮を認める症例群では、酸化ストレスマーカレベルの増加ならびにアディポネクチン濃度の低下を認め、下部尿路機能障害とアディポサイトカインの関連性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、基礎研究において、ピオグリタゾン投与群とcontrol群、動脈硬化群での膀胱組織の免疫組織学的検討、CCD生体顕微鏡による膀胱壁微小循環の評価を行う予定であり、研究を施行したが、実験手技の問題、評価時期の問題などで、きちんとした評価が行えず、当初の予定と比較して遅れている。臨床研究の面では、概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床分野においては、現在進行中の検討を完遂して、ヒトにおける下部尿路機能障害に及ぼすアディポサイトカインの役割についての検討を深めていく予定である。また基礎研究においては研究分担者とも相談して、モデルの妥当性、介入開始時期、評価時期などを再考した上で、計画した研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
基礎研究において研究手技、計画の問題できちんと評価できなかったこともあり、予定していた研究が一部実施できず、物品費において差が生じた。次年度に研究計画を見直した上で、膀胱組織血流評価、免疫学的評価を行い動脈硬化による下部尿路機能障害モデルにおけるアディポネクチンの有効性について評価を行っていく予定である。
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