2018 Fiscal Year Research-status Report
膀胱虚血におけるNrf2の役割の解明;過活動膀胱の新規治療標的としての可能性
Project/Area Number |
17K11179
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
舟橋 康人 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70534824)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膀胱 / 過活動膀胱 / 虚血 / マウス / ノックアウトマウス / Nrf2 / スルフォラファン / 血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
臓器の血流が障害されるとNrf2の発現が亢進し、抗酸化遺伝子群の転写が活性化される。膀胱においても血流障害により反応性にNrf2の発現が亢進するのではないかと仮説をたてた。またNrf2の発現を誘導した状態では、膀胱の虚血障害を抑制できると考えた。 上記の仮説を証明するために8週齢雌性C57BL/6マウスにL-NAME(1g/L)または水を飲水投与し(day0~7)、7日目に各種評価した。またスルフォラファン群ではスルフォラファン(5mg/kg)を飲水投与し(day0~7)、同じく7日目に評価を行った。またNrf2ノックアウトマウスにおいても検討を行った。 まず膀胱血流をCCD血流計にて測定したが、L-NAMEの投与により膀胱血流は低下しており、これはスルフォラファンの投与や、Nrf2ノックアウトでも同様に血流の低下を認めた。ELISAにてNrf2の発現量を定量化するとL-NAMEの投与により反応性に膀胱でのNrf2の発現が亢進したが、スルフォラファンの投与によりさらに発現が亢進していた。Nrf2の免疫染色では、正常ラットでは尿路上皮の細胞質に発現が確認されたが、L-NAMEの投与により核へ移行していた。酸化ストレスマーカーであるMDAは、L-NAME群、Nrf2ノックアウトマウスにおいて亢進し、スルフォラファンの投与により抑制された。膀胱内圧測定にて排尿間隔を測定すると、L-NAMEの投与により頻尿となるが、スルフォラファンの投与により抑制された。 以上の結果より、骨盤内虚血による排尿筋過活動においてNrf2は保護的作用を有し、治療ターゲットとなりうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Nrf2ノックアウトマウスが当初の予定以上に早く数を揃えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度にウエスタンブロッティングにて膀胱のNrf2の発現、細胞質/核の局在を定量化し研究を終える予定である。また国内外での学会発表、ならびに英文誌への投稿を準備していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が順調であり当該年度に購入予定の消耗品が予定より少なかったので次年度使用額が生じたが、次年度の消耗品(ウエスタンブロッティングに必要な試薬)を購入予定である。
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