2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on the analysis of genitourinary tract infections using a next generation sequencer
Project/Area Number |
17K11183
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
和田 耕一郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (20423337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 亜矢乃 岡山大学, 大学病院, 准教授 (00423294)
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 医員 (20733322)
渡邉 豊彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30432644)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿路感染症 / 膣内細菌叢 / 直腸細菌叢 / 次世代シーケンサー / 性感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、次世代シーケンサーを用いて尿路感染症、性感染症の感染経路と常在細菌叢を解析することによって病態を詳細に解明することである。その結果によって感染症の有効な予防法を探索して使用抗菌薬の減少につなげることを見据えた本研究は、耐性菌の増加や新規抗菌薬の開発が停滞している現状にとって非常に重要度が高いと考えられる。 平成29年度は、尿路感染症に関しては研究デザインの確定と倫理申請、検体採取を実際に開始した。すなわち、反復性尿路感染症の女性患者のうち、主に尿路感染症を発症していない時期の直腸および腟のスワブ検体を採取した。また、少数ではあるが発症した時期は直腸と膣に加えて尿検体の採取を行った。採取した検体は同日にDNAの抽出と保存を行い、現時点で100検体の採取が完了している。さらに、次世代シーケンサーを設置している岡山大学バイオバンクの教員との情報交換や講義の聴講を行い、シーケンス結果を解析するソフトの使用法について理解を深めている。 臨床研究に並行して、膣内細菌叢と膣内のバイオフィルムに着目した基礎研究を新たに立ち上げ、細菌同士の干渉によるバイオフィルム形成阻害作用や抗菌薬の影響について新しい知見を得つつある。 性感染症については研究デザインについて研究協力者と討議を行っているところである。男性については、初尿と咽頭うがい液から主にN. gonorrhoeaeについて遺伝子解析を行うこととしているが、女性については性器感染の検体の種別について確定に至っていないのが現状である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尿路感染症の研究については、おおむね計画通り進行していると考えている。一方、性感染症患者における検体採取が遅れている。すなわち、女性においては子宮頚管スワブと初尿における淋菌、クラミジアの検出感度差によって採取する検体の種類を決定する段階でとどまっている。また、女性の検体採取の協力施設をいくつか候補として挙げているが、協力の可否について回答が得られていない施設があることも、遅れている理由の一つである。 平成30年度から臨床研究法が施行されているが、本研究課題に含まれる臨床研究には直接的な影響はないと考えている。しかし、薬物治療の効果が関係してくるケースや、検体(特に子宮頚管スワブ)の採取においては侵襲を伴う医行為であるかを十分に注意し、倫理的な面に十分配慮して研究を行い、必要があれば当院に設立された認定倫理委員会に相談しながら研究申請を行っていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
尿路感染症については、現状を継続して臨床検体の採取を進めると同時に、次世代シーケンサーによる解析の準備を行う。必要物品の購入を進め、解析後の分析に必要なソフトウェア使用の練度を上げておく。 基礎研究については、膣内細菌叢とバイオフィルムの関係、バイオフィルム抑制効果(干渉)のある細菌、特に乳酸菌を中心に基礎的な実験を行って膣内細菌叢と尿路感染症の関係を明らかにし、尿路感染症の予防について今後の方向性を探索する。 性感染症については早急に臨床検体の採取に関する倫理承認を受け、検体採取を開始する。特に、咽頭感染の感染経路を明らかにする(咽頭から咽頭、もしくは性器から咽頭)目的に沿って進めていく。 当施設の次世代シーケンサーは一度に384検体を同時に解析することが可能である。できるだけ経済効率を高くするため、尿路感染と性感染症の検体を多く収集し、少ない回転数で解析を進めていく必要がある。そのため、計画的な検体収集と解析を行っていくことが重要である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は検体採取と学会等での情報収集が目的であった。一部の検体収集が進んでいないこともあり、物品費の使用が当初の予定より少なくなっている。平成30年度は検体採取がもっと進むことが見込まれるため、未使用の物品費に充てることになる。人件費、謝金については、岡山大学バイオバンクでの面談や講演の聴講が予定より少額もしくは無料であることもあるため、予定より使用金額が少なかった。平成30年度は次世代シーケンサーを実際に走らせることになるため、より頻回かつ長時間の情報収集も必要になる。さらに研究協力者からより多くの協力を得る必要があり、かかる研究費も拠出しなくてはならない。平成29年度の未使用額はそれらに充て、質の高い解析を行っていく。
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