2017 Fiscal Year Research-status Report
尿道下裂の遺伝子制御機構の解明と遺伝子導入細胞シートを用いた新規手術法の開発
Project/Area Number |
17K11186
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
黒川 覚史 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (50468253)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
水野 健太郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70448710)
守時 良演 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (50595395)
西尾 英紀 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (10621063)
神沢 英幸 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00551277)
林 祐太郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40238134)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 尿道下裂 / モデル動物 / マイクロアレイ / 遺伝子解析 / 抗アンドロゲン剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
11週齢の妊娠Sprague-Dawleyラットに対し非ステロイド性抗アンドロゲン剤flutamideを投与することにより尿道下裂モデルラットの作成を行った。アンドロゲン依存的に外性器が形成される妊娠後期、すなわち妊娠13~20日に抗アンドロゲン剤を3日間連日腹腔内投与し、尿道下裂モデルラットを作成した。抗アンドロゲン剤の投与方法に関しては、私たちがこれまでに停留精巣モデルラットを作成したときと同様flutamide7.5mgをカルボキシルメチルセルロースに溶解し0.5%溶液としたのちに妊娠ラットの腹腔内に投与した。 抗アンドロゲン剤の投与日の違いにより、正常な陰茎から様々なタイプの尿道下裂(亀頭部・陰茎部・会陰部)まで作成可能であった。抗アンドロゲン剤投与期間の検討から、妊娠17日目が尿道下裂発生に重要であることが示唆された。 そこで、尿道下裂のモデルラットとコントロールである正常ラットの双方から、雄仔の陰茎を採取した。具体的には、まず正常ラットの妊娠15、17、19日目と尿道下裂モデルラットの尿道下裂発生の臨界期である妊娠17日目に、胎仔を取り出した。実体顕微鏡下に、氷冷したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)内で胎仔の性腺を確認し雌雄を識別後、雄仔から陰茎を採取した。採取した陰茎からtotal RNAを抽出し、逆転写によってcDNAを合成した。合成されたcDNAは、20500遺伝子を搭載したマイクロアレイチップにハイブリダイズさせスキャナーによる解析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
20500遺伝子を搭載したマイクロアレイ解析の結果の解釈に時間がかかっている。遺伝子発現の差を順序良く整理することは終了しているが、それらの遺伝子がどのパスウェイに属しているか、またパスウェイの上流や下流の遺伝子発現はどうなっているか、を理解して遺伝子制御の状況をきちんと把握することが、本研究の今後の道筋を作るうえで極めて重要であると考えている。よって、十分な時間を必要としている。
|
Strategy for Future Research Activity |
遺伝子のパスウェイに関しては、解析ソフトなどを有効に活用して研究のスピードアップに努める。 尿道下裂の発生に関連した遺伝子パスウェイを見極めたうえで、それらの遺伝子発現について個々に定量RT-PCRで確認する。確認できた特徴的遺伝子については、cDNAをサブクローニングし遺伝子強制発現ベクターを作成するか、もしくはsiRNAを作成し、遺伝子発現変化の影響を検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
本研究の核となる組織培養の方法等を年度半ばで見直しをしたため次年度使用額が生じた。マイクロアレイで得られた遺伝子発現変化を、パスウェイ解析ソフトで解析する予定である。具体的には「Ingenuity Pathway Analysis」というソフトを使用するのに経費がかかる。また、得られた特徴的遺伝子群のサブクローニングにも経費がかかる予定である。サブクローニングの具体的な内容としては、定量RT-PCRにより個々の遺伝子発現を確認すること、cDNAから遺伝子強制発現ベクターを作成すること、siRNAを作成すること、の3つを予定している。
|