2018 Fiscal Year Research-status Report
腎移植後抗体関連型拒絶反応におけると新規バイオマーカーの同定と治療戦略の確立
Project/Area Number |
17K11197
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
角田 洋一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40710116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 亮一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40456976) [Withdrawn]
高原 史郎 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (70179547) [Withdrawn]
市丸 直嗣 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70346211) [Withdrawn]
中澤 成晃 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80759530) [Withdrawn]
阿部 豊文 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90750894) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 腎移植 / 抗体関連型拒絶反応 / バイオマーカー / 補体 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎移植後拒絶反応のうち抗体関連型拒絶反応は難治性である。そのマーカーを同定するために、抗体関連型拒絶反応を発症した患者のリンパ球における遺伝子発現をDNAアレイを用いて評価を行った。その結果から候補遺伝子はいくつか挙げられたが、有用であると考えられるマーカーを特定することはできなかった。しかし、DNAアレイの結果から補体因子および補体制御因子といった補体カスケードが亢進していることをが推測された。そのことから、補体または補体制御因子が抗体関連型拒絶反応のマーカーとなりうると考えられた。さらには我々はラットによる抗体関連型拒絶反応モデルの確立に成功しており、そのモデルを用いた検討では補体因子であるC3とC5の産物のいくつかと補体制御因子の発現が亢進していることが確認できた。 そこで補体因子C3、C5および補体カスケードの最初の因子であるC1に着目して、マーカーの有用性を検討することとした。補体因子C3とC5の産物であるC3a~d、C5a~dのうち、ケモカインとして作用する産物を除き、また最終産物として最も安定性が高いC3d、C5dに着目した。 しかし、ヒトリンパ球におけるC3dの発現についてPCRにて評価したところ、発現の上昇は認められなかった。そこで、C3dの発現ではなくC3dの結合能に注目し、人工ビーズを用いてC3d結合能を評価する実験方法を確立した。しかもC3dの結合能の評価は患者血清を用いて簡易に測定できるため、マーカーとして臨床応用することに適していると考えられた。この方法を用いて抗体関連型拒絶反応を生じた数例の患者の血清から、C3d結合能を評価したところ臨床結果と相関が認められマーカーとなりうる有用性を確認した。今後はC5d、C1を用いて評価を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた方法では抗体関連型拒絶反応のマーカーの特定はできなかった。しかし、結果から補体カスケードが亢進していることを確認し、またラット腎移植モデルを用いてC3dがマーカーとなる可能性を特定することができた。また、ヒト血清を用いてその有用性についても現時点で数例ではあるが確認している。方法は予定と異なるがマーカーを特定することができ、途中段階ではあるが評価方法も確立したため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
抗体関連型拒絶反応を発症した腎移植患者の血清を用いて、C3d結合能の評価をすすめていく。ある程度のn数が揃ったところで、患者背景、術前・術後のクロスマッチ結果、術前・術後のドナー特異的HLA抗体のMFI値、脱感作療法の種類などとの関連についての解析を行う。同時にC5d、C1のマーカーとしての有用性も評価を行う。
|
Causes of Carryover |
DNAアレイを用いて抗体関連型拒絶反応の同定を行う予定であったが、直接的な同定はできなかった。しかし、DNAアレイの結果とマウス抗体関連型拒絶反応モデルを用いて間接的にはマーカーを同定することができた。そのため、当初予定していた実験とは異なる実験方法となったため、次年度使用額が生じました。 次年度は患者血清を用いて、このマーカーおよびその他にも候補と考えられている補体関連因子の評価を行い、臨床結果との関連を検討する予定である。また論文を作成し投稿する予定であるため、実験と投稿に助成金を使用する予定である。
|