2018 Fiscal Year Research-status Report
腎移植拒絶反応における新規治療ターゲットとしての補体代謝産物C5aに関する研究
Project/Area Number |
17K11199
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 和明 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (10648017)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 亮一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40456976)
阿部 豊文 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90750894)
角田 洋一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40710116)
中澤 成晃 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80759530)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 腎移植 / 補体制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット急性細胞性拒絶反応モデルを作成し、昨年度行ったC5a阻害ペプチドを投与し、移植後生存期間を延長できるかについての検討を継続した。C5aペプチドの投与方法として、腎移植施行時に腹腔内に浸透圧ポンプを埋め込み、3日間の持続投与を行った。しかし、有意な生存期間の延長は確認できなかった。拒絶反応が増強してくる移植3日目以降に投与が終了してしまうため、効果が得られなかったと考えられた。さらに長期間の投与を試みたが、ポンプが大きくなり、ラットへの使用が困難であったため断念した。今後は移植1、2日目に腹腔内に浸透圧ポンプを留置し薬剤投与を行う実験系や他剤との併用のモデルで検討する予定である。また、分子レベルの研究としては、同系モデルと比較し補体動態の検討を継続している。昨年度の研究結果で課題として残った拒絶反応モデルの移植腎におけるC5のmRNA発現が移植後3日目から有意な低下を来たす点について、C5a阻害ペプチドを投与した際に、予後改善の機能解析として重要な点であるため、原因の解析を行った。やはり移植腎の免疫組織染色において病理組織学的にみると浸潤してくるリンパ球上にもC5の発現がみられ、移植後経時的にそれらのリンパ球の浸潤は増加しており、移植腎での産生ではなく、他組織での産生による影響が考えられた。ただし、様々な投与方法を行い検討をしているが生存期間の延長が認められないことからは、このモデルにおいて補体の関与に比べ、リンパ球などの直接的な細胞障害の影響の方が大きくいことを反映している可能性も考えられる。今後は、より補体の活性化を促す抗体関連型拒絶反応モデルを用いた実験系も含めて検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ラット飼育施設において、マイコプラズマ感染が確認され、飼育施設の閉鎖などがあり、予定していたスケジュールでの実験を行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
ラット急性細胞性拒絶反応モデルにおいてC5a阻害ペプチド単剤での治療効果と他剤の併用も含めた実験系を用いて検討していく。また、抗体関連型拒絶反応モデルでの検討も行う。引き続き、投与量・投与経路についても再度検討を行っていく。
|
Causes of Carryover |
H31年度使用予定の試薬費が想定よりも増額したため、H30年度の支出を抑えた。研究使用予定の試薬の購入に充てる。
|