2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト造精機能障害症例でのペルオキシソーム脂質代謝機能の解析と臨床応用への展開
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17K11208
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
水野 由美 埼玉医科大学, 医学部, 客員講師 (20584014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 洋介 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30406532)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ペルオキシソーム / 精子形成 / セルトリ細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペルオキシソームは細胞内小器官の一種であり、超長鎖脂肪酸のβ-酸化やフィタン酸の代謝、プラスマローゲン合成など重要な脂質代謝を担っている。ペルオキシソームの脂質代謝に関わる遺伝子を欠失したマウスでは雄性不妊となることから、ペルオキシソーム は精子形成に重要な役割を持つと考えられる。ペルオキシソームで働く代謝酵素を活性化に関わるTysnd1(Trypsin domain containing 1)を欠損したマウスは、軽度にペルオキシソーム の脂質代謝機能が低下しており、精子無力症の症状を呈する。このTysnd1欠損マウスを用いて精子形成におけるペルオキシソームの役割について研究を行った。Tysnd1欠損マウス精子は、ほぼ正常な精子と奇形精子が混在するが、頭部の丸い精子では先体を欠く。昨年度までの研究で、プラスマローゲン前駆体の経口投与がTysnd1欠損マウスの奇形精子の先体形成の改善に役立つことを明らかとした。しかし、妊孕性の獲得には至らなかったため、さらに詳細な解析を進めた。透過型電子顕微鏡にて観察を行ったところ、ほぼ正常な形態を持つ精子においても核と先体小胞の間に空間が見られ先体膜の形成または膜同士の接着に異常が起きていることがわかった。また、円形精子細胞から精子へと尾部を形成し形態変化する際には、ミトコンドリアなどの一部を残して細胞質の多くは除去されるが、Tysnd1欠損マウスの精子では、細胞質が一部残ったままの精子が多く見られた。以上の結果から、精子形成におけるペルオキシソームの役割は、比較的後半の形態変化にかかわる部分にあると考えられた。今後、前年度のマイクロアレイのデータと合わせて解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト検体を用いた研究で、予想よりも検体数が集まらなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
精子形成におけるペルオキシソームの役割を明らかにするため、ペルオキシソーム機能が低下し、精子無力症を呈するTysnd1欠損マウスを用いて、精子形成のどのステージでペルオキシソームが重要な働きをしているかについて解析を行う。また、患者検体を用いて、精子無力症患者のペルオキシソームの脂質代謝機能の測定を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定より検体数が集まらず、予定していた患者検体の解析が年度内にできなかったため。次年度には検体数を確保し、精子無力症患者でのペルオキシソーム機能の解析を行う。
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Research Products
(8 results)