2018 Fiscal Year Research-status Report
卵巣顆粒膜細胞分化におけるプロスタグランジンD2の役割解明
Project/Area Number |
17K11214
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
今道 力敬 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00570194)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プロスタグランジン / 卵巣顆粒膜細胞 / PGD2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、卵巣におけるプロスタグランジンD2(PGD2)の役割解明を目的としている。前年度の結果より、3週齢の雌マウスの卵巣には、PGD2合成酵素であるリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)、造血器型プロスタグランジンD合成酵素(H-PGDS)およびプロスタグランジンD2受容体(PTGDR)の遺伝子が高発現していることが明らかになった。さらに、3週齢の雌マウスへの妊馬血清性腺刺激ホルモン(PMSG)投与は未処理のコントロール群と比較し、L-PGDS、H-PGDSおよびPTGDRの遺伝子発現を低下させることが明らかになった。そこで当該年度では、マウス卵巣顆粒膜細胞におけるPGD2の役割の解明を目指した。一般的に卵巣顆粒膜細胞の初代培養にはジエチルスチルベステロール(DES)で前処理した未成熟雌ラットが用いられる。この方法をマウスに適用し、卵巣顆粒膜細胞の初代培養系の確立を試みた。まず初めに、卵巣におけるL-PGDS、H-PGDSおよびPTGDRの遺伝子発現に対するDESの影響を調べた。3週齢雌マウス(C57BL/6)にDESを24時間毎に連続投与し、サンプリングを行った。初回のDES投与より、0、6、24、48、72および96時間後のマウスより卵巣を回収し、RNA精製およびcDNA合成を行った。定量的リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析の結果、DES投与はL-PGDS、H-PGDSおよびPTGDRの発現量にほとんど影響を与えないことがわかった。そこで、3週齢雌マウスにDESを24時間毎に4日間連続投与した後、膨大した卵巣を摘出し、卵巣顆粒膜細胞の分離・培養を行った。マウス初代培養卵巣顆粒膜細胞を無血清培地で24時間培養した後、DPアゴニストにより刺激し、RNA精製およびcDNA合成を行った。現在、DPアゴニスト刺激の有無による遺伝子発現の差異を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度から進行中の動物実験施設改修のため、マウス飼育環境の変更を行った。しかしながら、新規の飼育環境下ではDPノックアウトマウスを含むマウス系統の繁殖がうまくいかず、現在、系統の復元を試みている。そのため、当該年度は野生型マウスのみを実験に用いたことから、実験計画にやや遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度に引き続き、野生型マウスの初代培養卵巣顆粒膜細胞において、DPアゴニストにより発現誘導される遺伝子を網羅的に解析する予定である。また、DPノックアウトマウスからも初代卵巣顆粒膜細胞を分離・培養し、野生型マウス初代培養卵巣顆粒膜細胞との遺伝子発現の差異を明らかにする。さらに、野生型マウスおよびDPノックアウトマウスに直接DPアゴニストを投与し、卵巣顆粒膜細胞のマーカー遺伝子発現やステロイドホルモンの合成系遺伝子の発現を解析し、生体内においてのPGD2の役割を明らかにする予定である。
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