2017 Fiscal Year Research-status Report
The novel strategy to treat male infertility by oxidative stress
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17K11217
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 伴 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (90443126)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | タンパク質分解 / プロテアソーム / 精子形成 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
男性不妊患者の精子では、酸化ストレスによる傷害が増大することが妊娠率低下の原因となっている。しかし、その発生機序には不明な点が多く、また回避策として有効な手段も確立されていない。本研究では、精子における酸化ストレス応答異常の解明のために以下の二つの研究に着目した。1)プロテアソームの機能低下は精子の運動性低下を引き起こす。2)酸化ストレスの増大は精子の機能低下を引き起こす。以上二つの研究を基盤とし融合することで、加齢によって酸化ストレス応答が破綻し、結果プロテアソームの機能が低下することが男性不妊を引き起こしているという仮説を提唱し、検証する。 今年度は、欠損マウスの精巣及び精巣上体由来精子の形態的観察を行った。その結果、精巣には顕著な差は見られなかった。一方で精巣上体より採取した精子は、中片部の屈曲や短縮が観察された。さらに、一部の精子では複数の頭部を有することも明らかにした。また、電子顕微鏡を用いることで、中片及び尾部の観察を行ったところ、欠損マウスでは中片から尾部の構造が倍数化している事が明らかとなった。以上のことから、欠損マウスの精子は精子形成後の細胞体同士の不分離が原因となって形態的な以上を呈していると考えられた。また、欠損マウスとの交配実験の結果、産仔数の解析から欠損マウスが完全に雄性不妊であることが明らかになった。通常、精子形成は精巣内において完了し、異常な形態を有する精子は精巣及び精巣上体において除去されると考えられている。欠損マウスにおいては、異常な形態を有する精子が8割以上存在していた。このことから、異形精子の除去機構とプロテアソーム分解経路が関与していると推察された。今後は、精子形成・成熟の異常がどの段階で発生しているのか明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初、精巣において正常な組織像を確認していたことから、精子形成の異常については、検討を行ってこなかった。しかしながら、精巣上体より採取した精子を詳細に観察した結果、形態的には正常な精子と観察されていたものが実は複数の頭部を有する異形精子であることが明らかとなった。初年度に予定していた、精原幹細胞の樹立に時間をようしているが、現在培養条件を再検討することで低効率ではあるが樹立に成功している。更に条件を改善していくことで、移植実験系の構築が可能だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
精原細胞由来の幹細胞の樹立は急務であることから、さらに条件を絞って確立したいと考えている。一方で、標的タンパク質の探索についてはプロテオーム解析によって複数の候補を得ることに成功していることから、それらの機能解析についても順次行って行きたいと考えている。
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Causes of Carryover |
培養系の構築のために必要な消耗品を実験計画上、次年度に購入することに決定した。次年度の助成金と合わせることで的確に実験計画を遂行する。
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