2018 Fiscal Year Research-status Report
MPS法によるNIPTにおけるdiscordantな結果の解明とその臨床的意義
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17K11219
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
四元 淳子 国際医療福祉大学, 大学院, 講師 (30553648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関沢 明彦 昭和大学, 医学部, 教授 (10245839)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 判定保留 / 偽陽性 / 胎児DNA / 母体疾患 / 胎盤性モザイク |
Outline of Annual Research Achievements |
母体血中のcell-free DNA を用いたNIPTにおけるdiscordantな結果の一つである判定保留(non-reportable result)の背景を解析した。 2017年3月までに報告された34246例について解析した結果、全体として判定保留となったのは110例(0.32%)であり、その20%が胎児DNA濃度が低いことによるものであった。また仮説の一つであった、判定保留におけるヘパリンの影響については、判定保留となった妊婦の11.8%に、抗凝血治療としてのヘパリン投与があることが確認された。また、母体の腫瘍性疾患によって判定保留となった症例においては、whole genome解析によって、そのゲノムプロファイルにおいて変化が見らることがわかった。さらに、ゲノムプロファイルに何等かの変化が見られた場合には、2回目の採血を行っても判定結果が得られる率は低かった(22%-33.3%)。 判定保留の背景には様々な要因がありその一部の実態が明らかとなってきた。ヘパリンを投与されている妊婦は多いことから、NIPTの検査前のカウンセリングにおいては、結果が得られない場合があること、その背景としての要因や留意点についての説明が必要と考えられた。 今後は症例を増やしてのデータ収集を続けるとともに、偽陽性例を中心に特に症例数の多い要因について 詳細な解析(whole genome 解析)を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
偽陽性、判定保留の要因について全体の40%超の要因が特定できたことに加え、判定保留の要因の一つであるヘパリン投与の影響についての詳細な結果を得ることができた。また、NIPTによって結果が得られにくい背景の一つにgenomic profileの変化が認められることがわかった。NIPTの受検者には不育症治療としてヘパリン投与を受けている妊婦も多数あることから採血の前に対策をとる必要があることが示唆された。また採血を繰り返しても結果が得られにくい症例があることは検査を希望する妊婦に伝えるべき有用な情報となると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
判定保留例におけるヘパリン投与や腫瘍などの母体疾患によるNIPT結果へ影響を及ぼす要因の一部が明らかになるとともに、偽陽性例の背景についてのさらなる詳細な解析が必要と考えられるため、症例数の増加とともに解析を続けていく。さらに、ヘパリン投与に対する事前の周知やNIPTで結果が得られにくい場合があることの要因についての情報提供を含め、妊婦への遺伝カウンセリングのあり方や内容についての検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究は予定通りに進行している.旅費について安価に調整できたこと,代表者が人件費として計上していた予算が,研究スケジュールの見直しにより人員確保が困難となったことにより本年度については残金として持ち越すこととなった.残金分については研究の最後の年度となるのでスケジュール調整を早期に準備し,学会発表,人件費,研究試薬等の購入で使用する予定である.
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