2018 Fiscal Year Research-status Report
グリシンレセプター作動薬による胚発生率向上作用機序の解明と卵子老化予防への応用
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17K11222
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西園 啓文 富山大学, 研究推進機構 研究推進総合支援センター, 助教 (10502289)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵子老化 / 初期発生 / グリシンレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
晩婚化と少子化が同時に進む日本において、加齢による卵子/受精卵の受胎能力の低下の原因解明と予防法の開発は重要なテーマの一つである。しかし、これまで様々な関連因子が明らかにされてきたが、いまだに別の新しい因子が見つかっているような状況であり、完全な解明には至っていない。本実施者は、平成28年度までに実施していた若手研究(B)『哺乳類の初期胚発生におけるアミノ酸受容体の機能解明と卵子老化予防への応用』(課題番号15K20134)にて、受精卵膜上でCl-イオンチャネルとして働くグリシンレセプターが新たな因子の一つであること、マウス・ウシ受精卵へのグリシンレセプター作動薬の添加による胚発生率向上効果、グリシンレセプターノックアウトマウスの作製を行ってきた。 本研究では、これらの研究を継続し、グリシンレセプター作動薬による低品質受精卵の胚発生率改善効果についてより詳しいメカニズムを解析し、応用研究に繋げることを目的として、①グリシンレセプター欠損モデル受精卵の作製・解析、②内因性のグリシンレセプターを欠損し、代わりにハロロドプシンを発現した「レーザー光で塩化物イオンチャネルをON/OFFできる」モデル受精卵を作製し、人為的に塩化物イオンチャネルを開口させることで、停止していた発生が再開するかどうかを解析し、グリシンレセプターと塩化物イオンの胚発生時における役割を明らかにし、③同様の実験をウシ受精卵でも実施し、他の哺乳類受精卵においても応用可能であるかどうかを検証する予定で研究を行っている。 2018年度は2017年度からさらに大きく研究内容を増やし、各種グリシンレセプター阻害剤での実験、ノックアウトマウス受精卵での実験からグリシンレセプターの中でもヒトで偽遺伝子と考えられていたα4サブユニットが受精卵の初期発生を制御していることを明らかにし、論文発表の他、ベストポスター賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は2017年度の結果を踏まえ、グリシンレセプターα4ノックアウトマウスの受精卵における機能の解析を進め、さらに阻害剤を使ったメカニズム解析、作動薬での結果など実験は順調に進行することができた。 また、2017年度に報告したようにグリシンレセプターα4の発現領域を調べるうちに、全く予想していなかった大脳のある特定領域で発現していることを明らかにした。この領域は摂食行動や表情筋を動かすために必要な領域であり、この領域でグリシンレセプターα4が発現しているという報告は未だになく、新発見である可能性が高い。この結果について当初計画にはないものの引き続き検討する。 さらに昨年度から支援が決まった『文部科学省新学術領域研究先端モデル動物支援プラットフォーム 総括支援活動(研究支援代表者:今井浩三)』分子プロファイリング支援活動に支援を受け、少なくとも6つのこれまでに報告されていない新規阻害経路を新たに発見することができ、この成果で論文を発表し、さらに学会発表においてベストポスター賞を受賞した。これらのことから、2018年度は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度までに当初計画で予定していた実験と、大脳でのグリシンレセプターα4の機能や、初期発生に影響のある新規阻害剤など、新たに見つかった知見も含めほぼすべての実験を完了することができた。 2019年度はこれらの知見をまとめ、すでに発表した論文の他に、新たに2つの論文投稿を計画している。
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Causes of Carryover |
プラスチック消耗品などのディスカウントセールを利用することで、予定よりも安く調達できたため、次年度使用額が生じた。これについては次年度の英文校正、論文投稿費などに使用する予定である。
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Research Products
(5 results)