2017 Fiscal Year Research-status Report
ヘパリン/ヘパラン硫酸―細胞内シグナル伝達系を介する絨毛細胞の遊走制御機構
Project/Area Number |
17K11226
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30273189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴本 敬一郎 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (90647603)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胎盤絨毛細胞 / 遊走浸潤 / 妊娠高血圧 / 胎児発育不全 / ヘパリン / ヘパラン硫酸 / CD44 |
Outline of Annual Research Achievements |
早期流産、胎児発育不全、妊娠高血圧症候群は不育症の多様な臨床型を示すが、抗リン脂質抗体症候群合併妊娠では過凝固―高サイトカイン―炎症系ネットワークに惹起された胎盤の形成機能不全がある。 特に絨毛細胞が脱落膜細胞などの母体細胞群に遊走接触する胎盤形成初期は、細胞周囲微小環境におけるヘパリン/ヘパラン硫酸/増殖因子(EGF、 VEGF、HGF、 FGFなど)とその受容体を介する細胞内シグナル伝達系が遊走や浸潤に重要な役割を演じている。ヘパリン/ヘパラン硫酸はCD44や syndecan-4を介しAkt 、mTOR、PAK-1といった細胞内シグナル伝達系分子により細胞遊走浸潤から組織形成過程に関与している。 これまでも、ヘパリンがPAK-1リン酸化を抑制し、培養不死化絨毛細胞HTR-8/SVneoの遊走能を抑制することを示してきたが、ボイデンチャンバーを用いた浸潤能の評価では逆に浸潤を促進することを見出した。同実験系では仔牛血清加培養液を用いるため増殖因子が含まれており、今後の詳細なシグナル伝達の検討が必要となるが、遊走、浸潤の制御が細胞周囲の環境によりなされていることを示す実験モデルといえる。これら制御機構と病態との関連の知見は、シグナル伝達系の異常による胎盤形成機能不全の病態機構解明につながると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べたように、絨毛細胞の遊走、浸潤におけるシグナル伝達の詳細を示しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に述べたように、絨毛細胞の遊走、浸潤の制御調節機構をより明らかとすることで、シグナル伝達系の異常による胎盤形成機能不全が、関連する早期流産、胎児発育不全、妊娠高血圧症候群といった不育症の病態解明につながると考える。研究の方向性はそのための実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
今後、実験系に動物実験を組む場合、また、リン酸化関連抗体の購入額が増加する場合など、見込みを超えて予算が不足する可能性があり次年度使用額が0円以上となっている。
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