2019 Fiscal Year Research-status Report
カニクイザルを用いた危機的産科出血に対する子宮動脈塞栓術の基礎的研究
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17K11257
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
五十嵐 豪 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (00386955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 保典 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (40621420)
橋本 一樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (30528386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮動脈塞栓術 / 産科出血 / 機能温存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究資金を用い、カニクイザルを購入し、子宮動脈塞栓術の有用性と安全性を検証した。本技術は主に産科の分娩時大量出血患者において止血を図るとともに、将来的に再度妊娠出産へつなげることを主な目的とするが、臨床での再妊娠例は散見されるものの基礎的な所見に乏しい。そのため、我々は霊長類を用いて子宮動脈塞栓術後の子宮の組織学的な所見を調査することによって本法の安全性を評価した。永久塞栓物質である、シアノアクリレート系薬剤(n-butyl-2-cyanoacrylate)を用いてカニクイザルの片側子宮動脈を塞栓し、組織学的検査及び電子顕微鏡にて調査を行ったところ、塞栓した子宮動脈の末梢において動脈が再開通しており、塞栓された動脈が栄養する範囲の組織が壊死に陥っていない像を確認することができた。したがって、本法は子宮動脈からの出血を止めるだけではなく、組織の生存性も確保しうる安全性の高い方法であることが示唆された。本研究結果は2019年に催された、第71回日本産科婦人科学会学術集会において高い評価を受け、高得点演題に選出された。さらに研究を進め、両側の子宮動脈を塞栓して同様の評価をおこなったところ、両側の子宮動脈を塞栓しても組織の生存性が確認され、さらに本法の安全性を実証することにつながった。現在、論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究によって、子宮動脈塞栓術の安全性は検証されたものの、その機能の回復性について、実際の妊孕性について直接的な評価をするに至っていない。今後、それらを実証することにより、本法の有用性が確立するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、機能の回復性について、実際の妊孕性について直接的な評価をするべきである。実際の方法としては、子宮動脈塞栓をおこなったあとのカニクイザルを妊娠させ、妊娠中の子宮の画像評価をおこなう。さらに、自然分娩ならびに選択的帝王切開を行い、陣痛に子宮組織が耐えうることを確認すると同時に、生検検体を組織学的に確認し、問題のないことを確認する必要があると考えられる。
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Causes of Carryover |
本研究は大型の霊長類を用いた研究であり、サンプル数を多数集めるのが困難であると同時に、サンプルの作成に時間を要し、サンプルが得られた時には膨大なアッセイを行う必要性が生じる。そのため、当該年度は主にアッセイに時間を要したため、実験動物の作成に至らず、次年度使用額が生じる結果となった。
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Research Products
(1 results)