2019 Fiscal Year Research-status Report
胎盤栄養膜細胞の浸潤性細胞への分化制御におけるガレクチンファミリーの役割
Project/Area Number |
17K11258
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
東海林 博樹 金沢医科大学, 一般教育機構, 教授 (10263873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有川 智博 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70452670)
酒井 大輔 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (90632646)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胎盤 / 栄養膜細胞 / 浸潤 / ガレクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では胎盤栄養膜細胞をモデルとして、浸潤性細胞への分化制御におけるガレクチンファミリーの機能解明を目指している。これまでに我々はガレクチン4が浸潤能獲得に関して負の制御に関わることを報告し、ガレクチン8や9が正の制御に関わる可能性について検討してきた。令和元年度は、HTR8/SV40細胞の遊走活性や分化制御に対するガレクチン8の作用について解析を進めた。まずトランスウェルを用いた細胞遊走アッセイ(Migration assay)により、ガレクチン8ノックダウンの効果について、詳細な解析を進めたが有意な効果は認められなかった。しかし、この解析の中で、ガレクチン8をノックダウンすると、コントロールに比べて、細胞全体、核ともにやや巨大化したような細胞が増加する傾向が認められた。この細胞がどのような性質の細胞なのか、現在検討を進めているが、予備的結果によれば抗サイトケラチン抗体および抗ビメンチン抗体の両方によって染色される。これらの特徴は、多倍体化し浸潤能を獲得した絨毛外栄養膜細胞 (extravillous trophoblast:以下EVT)の特徴と一致する。よって、ガレクチン8の発現を抑制したことによってより、HTR-8/SV40細胞のEVT様細胞への分化が促進された可能性がある。つまりこれらの結果は、ガレクチン8が当初の仮説とは逆に浸潤性細胞への分化に関して負の制御をしている可能性を示唆している。令和2年度はこの仮説の検証を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの知見から、ガレクチン8が浸潤性細胞への分化制御に促進的に作用することを想定し、細胞遊走アッセイ等によるその証明に多くの時間を割いてしまった。しかし、その後の結果からガレクチン8は逆の作用(抑制的作用)を持つ可能性が見いだされ、仮説を立て直す必要があった。 また、令和元年度は、研究分担者の異動等により、教育その他の業務が多忙となり研究計画に遅延が生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
ガレクチン8が、HTR8/SV40細胞のEVT様細胞への分化制御において、抑制的に作用する可能性について重点的に解析を進める。具体的には、まずHTR8/SV40細胞において、ガレクチン8発現抑制(ノックダウンまたはノックアウト)や過剰発現の効果を、各種分化マーカーの発現や浸潤能等を指標として詳細に解析する。また、ヒトあるいはマウスやラットの胎盤におけるガレクチン8発現を再度精査する。これらの解析から、有効と判断されればマウスを用いた個体レベルでの遺伝子操作にも着手する。令和2年度が最終年度となるので、以上を遂行した上で、本研究課題を総括する。
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Causes of Carryover |
令和元年度は、研究分担者の異動等により、教育その他の業務が多忙となり研究計画に遅延が生じた。また、所属する生物学教室全体として比較的多くの研究費を獲得できたため、各研究課題間で汎用する試薬や資材を融通し合い、無駄なく使用して出費を抑えることが出来た。次年度は動物実験等の比較的費用のかかる実験を計画している。
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Research Products
(7 results)