2019 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸部非扁平上皮癌に対する新たな治療法確立の試み
Project/Area Number |
17K11265
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島田 宗昭 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40362892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 英樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30595559)
北谷 和之 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (40539235) [Withdrawn]
永井 智之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00704298)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / 化学療法 / 集学的治療 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題を多方面から解析するため、研究代表者が主導した「広汎子宮全摘出術を行った子宮頸癌IB-IIB期6003例の多施設後方視的検討」の診療データベースを用いて、組織亜型の観点から臨床病理学的検討を行った。 腹腔細胞診を施行した1,409例(陽性:88例、陰性:1,321例)を対象とし、子宮頸癌における腹腔細胞診の意義を検討した。腹腔細胞診陽性症例では腹腔細胞診陰性例に比して無病生存期間(DFS)は有意に短く(HR= 1.78; 95%CI: 1.36- 2.32)、全生存期間(OS)でも同様の結果を示した(HR= 1.93; 95%CI: 1.44- 2.59)。腹腔細胞診陽性は非扁平上皮癌症例、再発高リスク症例および術後放射線療法施行症例のDFSの減少と関連した。一方、術後化学療法施行症例では腹腔細胞診陽性とDFSとの有意な相関はみられなかった(J Clin Med 2019)。 広汎子宮全摘出術を施行した5,964例を対象とし、施設症例数と子宮頸癌IB-IIB期の治療成績との関連を検討した。子宮頸癌IB-IIB期の5年無病生存率はlow-volume施設(31例以下/ 5年間)で77.2%、mid-volume施設(32- 104例/ 5年間)で79.9%およびhigh-volume施設(105例以上/ 5年間)は84.5%であった。子宮頸癌IB1期に対する手術単独治療成績の多変量解析の結果、high-volume施設はmid-volume施設に比して再発リスクを低下させ(HR:0.45, 95%CI: 0.25- 0.79, p=0.006)、総死亡率(HR:0.29, 95%CI: 0.11- 0.76, p=0.013)を低下させた。傾向スコアマッチング解析によりhigh-volume施設は子宮頸癌IB1-IIB期の局所再発率を低下させ、予後改善を示し独立予後因子となった(Obstet Gynecol. 2019)。 東北大学病院個別化医療センターおよび東北大学未来型医療創成センターのクリニカルバイオバンクに保管された早期子宮頸癌手術症例8例(扁平上皮癌:4例、非扁平上皮癌:4例)のOCT包埋標本、治療前の血液検体を用いて組織亜型別の全エキソーム解析を行い、情報解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子宮頸癌IB-IIB期の多施設検討の結果から、組織亜型に基づく臨床病理学的検討を行い、子宮頸癌IB-IIB期に対する臨床的研究課題について、2019年度に2本の論文化を行った。 東北大学病院個別化医療センターおよび東北大学未来型医療創成センターのクリニカルバイオバンク事業は軌道に乗り、集積した手術検体、血液検体を用いたクリニカルシーケンス(情報解析など)をパイロット研究として品質検証も行われ、クリニカルシーケンスの品質保証も完了した。しかしながら、子宮頸癌手術症例は非常に少なく、手術検体(OCT包埋)の収集に時間を要した。更に、胃型粘液性癌は稀少癌であり、胃型粘液性癌に包括される最小偏倚腺癌(Minimal deviation adenocarcinoma: MDA)が一例、MDAの発生母地とされる分葉状頸管腺過形成(lobular endocervical glandular hyperplasia)が一例あったため、レーザーマイクロダイセクションを行い、核酸抽出を行って全エキソーム解析を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
前述通り、早期子宮頸癌の手術検体(OCT包埋)、MDAおよびLEGHの手術検体を用いて組織亜型に着眼した全エキソーム解析を行い、情報解析を進めている。研究期間を延長し、可能であれば同一のOCT包埋検体を用いたRNA-seq解析を行って、早期子宮頸癌における組織亜型別の機能解析を追加し、多数例の診療データベースを用いた臨床病理学的検討結果により示唆された臨床的研究課題と突合させて、子宮頸癌IB-IIB期における組織型別の治療戦略を支持する新知見を探索する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、2020年度に、研究対象である稀少症例の解析を遂行するために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)