2021 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸部非扁平上皮癌に対する新たな治療法確立の試み
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17K11265
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島田 宗昭 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40362892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 英樹 東北大学, 大学病院, 准教授 (30595559)
北谷 和之 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (40539235) [Withdrawn]
永井 智之 東北大学, 大学病院, 助教 (00704298)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / 化学療法 / 集学的治療 / 個別化医療 / 非扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が行ってきた臨床研究および本邦の子宮頸癌IB-IIB期手術症例6000例のReal world database(RWD)を用いた臨床病理学的特徴に関する検討結果に基づき、本研究課題に関連する組織亜型に着眼した「子宮頸癌IB1-2期(FIGO 2018)の臨床病理学的特徴」に関する原著論文を責任著者として論文化した1)。再発・IVB期子宮頸部非扁平上皮癌は化学療法抵抗性であり、その予後は極めて不良であることから、子宮頸癌に対する個別化医療の治療選択としてドセタキセル・カルボプラチン併用療法を選択したパイロット研究成果を筆頭著者・責任著者として論文化した2)。また、放射線療法を施行した局所進行子宮頸癌を対象とし、扁平上皮癌に比して非扁平上皮癌の放射線低感受性を示した原著論文を責任著者として論文化した3)。さらに、IVB期・再発子宮頸癌に保険適用された文章的治療薬であるBevacizumabに関して、化学療法との併用・維持療法の治療効果の有効性・安全性を後方視的に検討した原著論文を責任著者として論文化した4)。また、子宮頸癌患者の生体試料を用いた血漿メタボローム解析を行い、年齢、身長、体重、BMIをマッチさせた東北メディカル・メガバンク機構に保管されているコホート検体とのメタボロームプロファイルを比較検討し、子宮頸癌の診断を補完する可能性を有する知見を明らかにするとともに、放射線治療効果予測を可能とするメタボロームプロファイルを同定し、論文投稿中である。血漿メタボローム解析による予測医療が可能となった場合、経時的な計測を低侵襲に行うことが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
施設内のゲノム解析体制は概ね完了し、集積した生体試料を用いたゲノム解析を含むオミックス解析と診療情報との統合解析を開始した。 高い品質の手術組織検体(OCT包埋検体)を用いたゲノム先行解析として、扁平上皮癌4例、通常型内頸部腺癌4例のエクソーム解析を行い、希少癌である胃型腺癌2例、胃型腺癌の前がん病変として注目されている分葉状頸管腺過形成(LEGH)2例のOCT包埋検体を用いたのゲノム解析を開始した。同時に、子宮頸癌症例の血漿メタボローム解析も行っており、多層的オミックス解析を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した難治性希少がんである子宮頸部胃型腺癌の検体について、引き続き本研究の対象となる疾患の検体収集、ゲノム解析に努める。 同時に、婦人科がんに対するメタボローム解析が、診断、治療標的、治療効果・予後予測に有用である可能性が示されつつあることから、検体収集状況が不良となった場合に備えて、メタボローム解析も含めた多層的オミックス解析を可能とする研究整備に努めつつ、子宮頸部胃型腺癌に対する新たな治療選択、治療効果予測を可能とする成果の発信に努める。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染状況が鎮静化しない状況において診療制限などの影響により、解析対象症例に関する生体試料の集積が予想通りに進まなかったことも研究対象症例集積に一定の影響を与えている可能性がある。次年度使用額はこのようなCOVID-19感染状況持続に伴い発生した未使用額である。 このような状況を勘案し、子宮頸癌治療前の血液検体を用いたメタボローム解析を行い、放射線治療の効果予測、予後予測を目指した多層的オミックス解析を行うこととし、令和4年度に行う予定である多層的オミックス解析のためのメタボローム解析に使用する予定である。
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