2017 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞腺癌におけるChIPシークエンスを用いた網羅的解析と新規エピゲノム創薬
Project/Area Number |
17K11268
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
曾根 献文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90598872)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ヒストンメチル化酵素 / 卵巣明細胞癌 / WHSC1 / SMYD2 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣明細胞腺癌 (Ovarian Clear Cell Adenocarcinoma : OCCA )におけるヒストンメチル化酵素の治療標的の可能性について検討を行った。治療標的遺伝子の絞り込み:ヒストンメチル化酵素の中で様々な癌腫において、発現の亢進が報告されている計10種類の遺伝子を候補遺伝子とし以下の研究を行った。(1)OCCA臨床組織検体におけるヒストンメチル化酵素の発現解析:OCCA手術検体23検体において上記の遺伝子に関する発現解析を行う。解析方法はリアルタイムPCR、正常卵巣検体3検体との比較を行う。(結果)ヒストンメチル化酵素10種類の中でヒストンメチル化酵素WHSC1,SMYD2の発現が正常卵巣組織と比較し、有意に上昇していた。また卵巣漿液性癌においても同様の解析を行った所、10種類のヒストンメチル化酵素で有意に発現が上昇していた。(2)ノックダウン法を用いたOCCA細胞株における細胞増殖試験:OCCA細胞株15種類に対してsiRNA法によりWHSC1とSMYD2のノックダウンを行った所、有意に細胞増殖抑制が認められた。またFACS法にて細胞周期を検討した所、WHSC1をノックダウンした細胞株ではG1/S期停止が認められた。またSMYD2をノックダウンした細胞株ではアポトーシス細胞であるsubG1細胞の増加が認められた。上記よりOCCAにおいてWHSC1、SMYD2が新規治療標的になりうると事が示された。(3)ヒストンメチル化酵素WHSC1の機能解析:卵巣明細胞癌の細胞株においてEZH2のノックダウンをした所、WHSC1の発現低下と、そのヒストンマークであるH3K27me2の発現低下が認められた。またOCCA臨床検体においてEZH2とWHSC1の発現が有意に相関していた。この事からWHSC1はEZH2の下流遺伝子である事が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した平成29年度の研究計画、OCCAにおける治療標的としての遺伝子(ヒストンンメチル化酵素)の絞り込みについてはWHSC1とSMYD2の2遺伝子を同定し,その機能解析も進めているので概ね順調に進展している考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
<OCCA細胞株、臨床検体におけるChIPシークエンス法を用いた網羅的解析> OCCAの癌化においてヒストンメチル化がどのように多くの遺伝子の発現に作用しているか解明するために以下の研究を行う。(1)OCCA細胞株におけるChIPシークエンス法による網羅的解析:OCCA細胞株15種類に対して、WHSC1とSMYD2をノックダウンする。ノックダウン後に得られたサンプルを抗ヒストンメチル化抗体、抗ヒストンメチル化酵素抗体にてクロマチン免疫沈降を行う。その後、次世代シークセンサーを用いたChIPシークエンス法にて網羅的解析を行い、OCCA細胞株においてヒストンメチル化が作用する下流遺伝子およびパスウェイを探索する。つまりノックダウン後のサンプルにおいて発現が抑えられている遺伝子やパスウェイがWHSC1,SMYD2が作用している対象と言える。上記検討で有意な結果が得られば、RNAseq、プロテオーム解析も併用し評価する。(2)OCCA臨床検体におけるChIPシークエンス法による網羅的解析:従来はホルマリン固定パラフィン包埋(Formalin-Fixed Paraffin-Embedded, FFPE)組織切片からChIPシークエンス法を施行するのに十分な質のサンプルを抽出することが困難であった。Paloma らはFFPE組織切片から質の高いサンプルを得てChIPシークエンス法を行うことに成功した(Paloma et al, Nature medicine 2016)。そのプロトコールを参考にサンプルを抽出し(1)と同様にChIPシークエンス法にて網羅的解析を行う。下流遺伝子、パスウェイが細胞株で得られた傾向と相関するかどうか検討する。またサンプルはFFPE検体だけでなく、Fresh frozen検体においても検討を行う。有意な結果が得られたらならば、RNA-seq解析等も併用する。
|
Causes of Carryover |
研究がスムーズに行っていたため、予想より使用額が少なく済んだ。また次年度はChIPseq法は費用がかかるのので、研究計画としては妥当と考える。
|
Research Products
(3 results)
-
-
[Presentation] Oncogenic histone methyltransferase EZH2: A novel prognostic marker and therapeutic target in endometrial cancer2017
Author(s)
Oki Shinya, Sone Kenbun, Oda Katsutoshi, Tanikawa Michihiro, Nagasaka Kazunori, Ikeda Yuji, Arimoto Takahide, Kuramoto Hiroyuki, Hiraike Osamu, Kawana Kei, Osuga Yutaka, Fujii Tomoyuk
Organizer
第69回日本産科婦人科学会学術講演会
-