2018 Fiscal Year Research-status Report
バソヒビンファミリーによる血管新生と免疫逃避を標的とした新たな卵巣がん治療の開発
Project/Area Number |
17K11294
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
嵯峨 泰 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70360071)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バソヒビン2 / 微小管 / パクリタキセル / 卵巣がん / 子宮頸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
血管新生調節因子であるバソヒビンファミリーによる、血管新生と腫瘍免疫寛容を標的とした新たな治療戦略確立のため、基礎研究を行っている。最近、バソヒビンファミリーは微小管の重合を促進する酵素であるチューブリンカルボキシペプチダーゼと類似の活性を有するとの報告がなされた(Science 2018)。微小管は卵巣がん治療の基幹化学療法剤のひとつであるパクリタキセル(PTX)の標的分子であり、バソヒビンファミリーの卵巣癌治療への応用において注目される。PTXは重合した微小管を安定化させることにより微小管の動的機能を阻害し殺細胞効果を示す。腫瘍において血管新生促進作用を示すバソヒビン2を標的とした治療戦略は、チューブリンカルボキシペプチダーゼ活性をも阻害し、その結果、重合微小管に作用点をもつPTXの効果を減弱させてしまう可能性が危惧される。この仮説を検証するため、バソヒビン2を高発現する培養がん細胞株を対象に、CRISPR/Cas9を用いてバソヒビン2をノックアウトし、PTX感受性の変化を観察した。その結果、バソヒビン2ノックアウトは培養細胞のPTX感受性をむしろ増強させた。その機序はいまだ不明であるが、バソヒビン2を標的とした治療戦略は腫瘍血管新生抑制のみならず、併用によりPTXの治療効果を増強させる可能性が示唆された。またこれらの研究から観察された新たな知見をもとに、卵巣がんとともに重要な婦人科がんである子宮頸がんにおけるバソヒビンファミリーの機能の検討も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマであるバソヒビン2を標的とした治療戦略は、卵巣がん治療の基幹化学療法剤のひとつであるPTXの効果を減弱させる可能性が危惧されたが、今回の検討によりむしろPTXの作用を増強させる可能性が示され、安全性とともにあらたな可能性が示唆された。子宮頸がんの重要な発がん因子とバソヒビン2発現との間に興味ある関係が観察された。
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Strategy for Future Research Activity |
バソヒビン2ノックアウトのPTX感受性増強機序の解明を進める。子宮頸がんの発がん因子とバソヒビン2との関係を解明し、あらたな治療戦略の開発につなげる。
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Causes of Carryover |
本研究テーマの安全性に関する他施設からの重要な報告が相次いだことから、今年度はそれらを検証するためのin vitro実験を優先して行った。これらの実験は既存の施設や消耗品で行うことができること、また高額な実験動物を必要としないため、研究費の次年度使用が生じた。これらの検証には引き続き動物実験が必須であるので、次年度以降その費用として執行する予定である。
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