2017 Fiscal Year Research-status Report
婦人科癌における抗がん剤耐性癌に対する糖脂質を用いた新規治療法の開発
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17K11295
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 京子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10286536)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / 子宮頸癌 / 卵巣癌 / 糖脂質 / 抗がん剤耐性 / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
各婦人科癌組織(子宮内膜癌, 子宮頸癌, 卵巣癌)の組織型別の糖脂質組成を調べた。卵巣癌組織(漿液性癌,粘液性癌,類内膜癌,明細胞癌)について糖脂質を比較すると,粘液腺癌にはスルファチドI3SO3-GalCer, II3SO3-LacCerが例外なくすべてに含まれていた. 漿液癌においては高分化型癌に高頻度に発現している傾向が見られた. α26シアリルパラグロボシドは漿液性卵巣癌に高発現し,相補的に各ルイス型糖脂質の発現は低かった. 子宮頸癌(扁平上皮癌,腺癌) について糖脂質を比較すると,子宮頸癌組織のガングリオシドはGM3がすべての組織サンプルに含まれる最大成分でありGM2は17例中6例に含まれていたが, GalNAc-GM1bとGalNAc-GD1aは検出できなかった. スルファチドは腺癌組織に含まれていたが扁平上皮癌組織では検出されなかった. 子宮内膜癌(高分化型腺癌, 低分化型腺癌)について糖脂質を比較すると,中性糖脂質とガングリオシドの含有量には有意差は見られないが,スルファチドは高分化型に高濃度であった.高分化形質の癌は低分化型に比べ,抗がん剤による治療効果が高いことが知られておりスルファチドが抗がん剤感受性・耐性の指標になる可能性示唆された. これらの知見より遺伝子導入にはスルファチドに着目し, スルファチドを合成する硫酸基転移酵素を導入することによる抗がん剤感受性の変化について検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各婦人科癌組織を用いて糖脂質組成の比較を行い, 組織型や分化度の違いにより糖脂質組成が異なることを見出した. その中でも硫酸化脂質であるスルファチドが抗がん剤感受性・耐性の指標になる可能性が示唆され,糖鎖遺伝子導入実験につながる成果となった.
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Strategy for Future Research Activity |
子宮体癌細胞株に糖鎖遺伝子導入実験を行った. 今後は子宮頸癌, 卵巣癌についても実験をすすめていく.
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Causes of Carryover |
以前より実験を続行しており予想より物品の調達が少なく済んだこと, 次年度の実験計画を考慮して効率的に物品調達ができたために次年度使用額が生じた. 次年度の研究費とあわせて, 引き続き婦人科癌における抗がん剤耐性における糖脂質の役割の解明のための細胞株や実験資材, 消耗品の購入にあてる予定
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Research Products
(2 results)