2019 Fiscal Year Research-status Report
婦人科癌における抗がん剤耐性癌に対する糖脂質を用いた新規治療法の開発
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17K11295
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 京子 東邦大学, 医学部, 准教授 (10286536)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / 抗癌剤耐性 / 抗癌剤感受性 / 糖脂質 / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究結果の中で、子宮内膜癌においてスルファチドが抗がん剤の感受性・抵抗性を関連がある可能性を見出したことから本年度は子宮内膜癌由来細胞のなかでスルファチドを持たない子宮体癌SNG-II細胞にスルファチドを合成する硫酸基転移酵素GST遺伝子を導入た細胞を作製した。常法に従って中性、酸性糖脂質に分画し、両細胞の糖脂質組成を比較した。酸性糖脂質はSNG-IIがGM3、GM2であるのに対し、SNG-II-GSTはII3SO3-LacCer(ラクトシルスルファチド)、II3SO3-Gg3Cer、GM3、GM2であった。硫酸化糖脂質が遺伝子導入によって新たに発現していることが確認できた。 遺伝子導入をしたSNG-II-GST細胞と元の細胞であるSNG-IIを用いて抗がん剤感受性・抵抗性について検討した。抗がん剤はパクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチンについて検討した。 MTT法により、異なる濃度の抗がん剤を作用させた時の生存細胞数を測定した。SNG-II-GSTの方がいずれの抗がん剤に対しても感受性であった。SNG-II-GST細胞の抗がん剤各濃度における生存細胞数を比較すると、シスプラチンは10 μg/mLで急激に低下するのに対し、パクリタキセルは0.01 μg/mLで50%まで低下し、濃度を上げていくと徐々に生存細胞数は低下した。一方、ドセタキセルは0.1 μg/mLからほぼ濃度依存的に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度途中で勤務先が変更となり、臨床業務に時間をとられ研究にあてる時間が当初の予定より少なくなったため
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き子宮内膜癌の抗がん剤耐性について検討した。今後は他の婦人科癌(卵巣癌、子宮頸癌)について抗癌剤耐性における糖脂質の関与について検討を進める。
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Causes of Carryover |
以前より継続的に実験を行ってきており、新たな物品購入が予定よりも少なく済んだために次年度使用額が生じた。研究期間を1年延長し、次年度引き続き実験遂行のための細胞や実験資材、薬剤、消耗品の購入にあてる予定
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