2017 Fiscal Year Research-status Report
molecular diagnosis and target therapy for cervical cancer by microRNA
Project/Area Number |
17K11300
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
藤井 多久磨 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10218969)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | マイクロRNA / 子宮頸がん / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸がんおよび前がん病変の患者の頸管粘液中において特異的に強い発現をしているマイクロRNA(miRNA)をみつけるために、マイクロアレイを用い健常人の検体との比較を行いながら網羅的に検索した。その結果、76種類のmiRNAが選択された。そこで、realtime RT-PCR法を用い、その発現の多寡の正当性を確認したところ、22種類のmiRNAの発現が高いことがわかった。この中で、特に健常人との発現レベルの差が大きい4種類のmiRNA(miR-126-3p,-20b-5p,-451a,-144-3p)を選び、合計230人の臨床検体を用いてその発現レベルが病変の推移に伴って増強するか否かを検討した。 正常、前がん病変(CIN)、がんおいて発現強度は病変の進行に伴い増加することがわかった。統計解析を行ったところ、正常とCIN1では有意差が認められないが、CIN2以上の病変では有意差をもって、異常値を示した。細胞診の判定においても、NILM,LSILでは差は認められないが、HSIL以上の病変を有する場合に有意差が認められた。HPVの感染の有無について解析したところ、HPV未感染に比べ、ハイリスク型HPVの感染において有意差をもって発現強度の違いが認められた。 次に検査としての性能を調べるため、異常値のカットオフ値を決定し、病変の検出感度、特異度を調べたところ、浸潤がんの病変を検出する感度はmiR-126-3p,-20b-5p,-451a,-144-3pにおいてそれぞれ0.81, 0.74, 0.83, 0.87であり、特異度はそれぞれ0.91,0.93,0.91, 0.89であった。陽性尤度比はそれぞれ、9.0, 10.57, 9.22,7.91陰性尤度比はそれぞれ0.21,0.28,0.19,0.15である。補助診断としては有用であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①子宮頸がんの診断に有用なmiRNAを頸管粘液中から見つけることについては、診断に有用と思われる4つのmiRNAについて、その発現の局在を調べるために手術検体組織を用いrealtime RT-PCR法で組織における発現の有無を確認している。組織中の発現の局在をin situ hybridization法で確認している。②子宮頸がんの診断や予後因子に関わる有用なmiRNAを血清から見つけることについては、血清として正常12例、CIN3は12例、扁平上皮がんは18例、腺がんは10例の合計63例の検体を用い2588種類のマイクロRNAが搭載されているマイクロアレイ解析を行ったところ、絶対値が10以上で扁平上皮がん/正常、腺がん/正常で2倍以上の発現比を認めたものは上昇しているものが40種類、低下しているものが88種類であった。そのなかで特に腺がんで8倍以上の発現上昇が認められたのは4種類であり、これについてrealtime RT-PCRにて解析中である。③子宮頸がんの発がんメカニズムにおけるmiRNAの役割を解明し、子宮頸がんの治療に有用な標的分子の候補をみつけることについては下記のごとくである。 miR-126-3pは子宮頸がん由来培養細胞の遊走能、浸潤能に関係していることがわかった。そこで、その機序を解明するために細胞内シグナル伝達系、特にPI3K-AKT経路の関連タンパク発現の有無をmiR-126-3pを細胞内に導入して強制発現させることで、発現強度が変化するか否かをウエスタンブロット法にて検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は下記のテーマにわけている。①子宮頸がんの診断に有用なmiRNAを頸管粘液中から見つけることについては、補助検査としては有用な4つのmiRNAを同定したので、そのmiRNAの発現の局在を確かめることで、その正当性を確かめている。局所における発現が確認されつつあり、解析としては順調に進んでいる。②子宮頸がんの診断や予後因子に関わる有用なmiRNAを血清から見つけることについては、現在realtime PCR法にて確認作業を行っている。③子宮頸がんの発がんメカニズムにおけるmiRNAの役割を解明すること、および子宮頸がんの治療に有用な標的分子の候補をみつけ、その機能を解析することについては4つのなかでも特にmiR-126-3pは細胞増殖や浸潤能に抑制的に働くことが確かめられたことから、その分子機構の解明を行っており、実験としては順調に進んでいる。
|
Research Products
(14 results)