2018 Fiscal Year Research-status Report
molecular diagnosis and target therapy for cervical cancer by microRNA
Project/Area Number |
17K11300
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
藤井 多久磨 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10218969)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | microRNA / 子宮頸がん / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸がんおよび前がん病変の患者の頸管粘液中において特異的に強い発現をしている4種類のマイクロRNA(miRNA)を同定した(miR-126-3p,-20b-5p,-451a,-144-3p)。そこで、これらのmiRNAの子宮頸癌組織における発現の多寡を定量的RT-PCRで解析したところ、いずれのmiRNAにおいても、正常に比べ高い発現量を示すことがわかった。4つのmiRNAの中で患者間での発現量の変動を認めないmiR-126-3pを選び、さらにその発現の局在をin situ hybridization法にて解析したところ、腫瘍細胞内のリンパ管内皮だけでなく扁平上皮・腺がん細胞の両方で発現していることが明らかとなった。そこで、miR-126-3pが子宮頸部発がんに及ぼす効果について子宮頸癌由来培養細胞を用いて評価することにした。培養細胞にmiR-126-3pを遺伝子導入し、増殖能、細胞移動能、浸潤能、アポトーシスとこれらに関連するタンパクの発現の多寡を解析した。遺伝子導入により増殖能、細胞移動能、浸潤能は抑制され、PI3K,PDK1、リン酸化AKTの発現低下が観察された。そこで、PI3K/PDK1/AKTシグナル伝達経路にある関連タンパクの発現を解析したところ、GSK3b、Cyclin D1,p70S6K,S6,PAK1,ROCK1 MRCKa,PLCg1の発現低下が示された。一方、BAD, BAXの発現は上昇するもBCL-xLは発現低下し、Caspase3/7の発現が上昇していたことから、アポトーシスは促進していた。miR-126-3p遺伝子導入により細胞増殖の抑制がみられ、アポトーシスが観察されたことから、PI3K/PDK1/AKTシグナル伝達経路を標的とした新たな子宮頸癌治療開発の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 子宮頸がんの診断や予後因子に関わる有用なmiRNAを血清から見つけることについては、血清として正常12例、CIN3は23例、扁平上皮がんは18例、腺がんは10例の合計63例の検体を用い2588種類のマイクロRNAが搭載されているマイクロアレイ解析を行ったところ、絶対値が10以上で扁平上皮がん/正常、腺がん/正常で2倍以上の発現比を認めたものは上昇しているものが40種類(37種類:3種類が扁平・腺がんの重複)、低下しているものが88種類(76種類:12種類が扁平・腺がんの重複)であった。そのなかで特に腺がんで8倍以上の発現上昇が認められたのは4種類であり、これについてrealtime RT-PCRにて解析した。その結果、有効なmiRNAはみつけることができなかった。そこで、改めて患者臨床情報を確認し進行扁平上皮がん症例に限り再度アレイ検索をすることにした。その結果、がん患者で発現上昇しているものが15種類あり、その中で絶対値が10以上では5種類であった。一方発現低下は40種類あり、絶対値が10以上のものに限ると25種類であった。これらの結果の正当性を確認するためrealtime RT-PCRで解析予定である。
② 頸管粘液中に見出されたmiRNAをバイオマーカーとして臨床応用するためには、恒常的なカットオフ値を設定する必要がある。頸管粘液に恒常的に発現している内在性のmiRNAを基準とし、標的となるmiRNAがバイオマーカーとして設定することが可能か否かを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は下記のテーマにわけている。①子宮頸がんの診断に有用なmiRNAを頸管粘液中から見つけることについては、候補となる4つのmiRNAを抽出することができた。今後は具体的な臨床応用が可能か否かを問題点を吟味してさらに検討していく。②子宮頸がんの診断に有用なmiRNAを血清から見つけることについては、現在realtime PCR法にて確認作業を行っている。③子宮頸がんの発がんメカニズムにおけるmiRNAの役割を解明すること、および子宮頸がんの治療に有用な標的分子の候補をみつけ、その機能を解析することについては4つのmiRNAのなかでも特にmiR-126-3pはPI3K/PDK1/AKTシグナル伝達経路を制御して細胞増殖や浸潤能に抑制的に働くことが確かめられた。本研究課題としてはおおむね順調に進んでいる。
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Research Products
(10 results)