2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞転写因子TEAD4を介したヒトパピローマウイルス発癌機構の解明
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17K11309
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
柊元 巌 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 室長 (70291127)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パピローマウイルス / 子宮頸がん / APOBEC |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染による子宮頸癌の発生には、細胞の変異原タンパク質APOBEC3Bの発現上昇が重要な役割を果たしている。これまでにHPVの癌タンパク質E6が細胞転写因子TEAD4の発現を誘導し、TEAD4がAPOBEC3Bプロモーターに結合することで、APOBEC3Bの発現を上昇させることを明らかにしている(Journal of Virology, 91: e02413-16, 2017)。本研究は、TEAD4によるAPOBEC3B発現誘導の分子機構の詳細を明らかにし、TEAD4を介したHPV発癌機構の全体像を解明する。 今年度はHPV癌タンパク質E7によるAPOBEC3B誘導機構を検討した。テロメラーゼ導入により不死化したヒト子宮頸部角化細胞(HCK1T)に、HPV16 E7及びRbと結合できないE7変異体(D21G, L22V/C24S/E26D)を、レトロウイルスベクターを用いて発現させた。細胞抽出液のウェスタンブロット解析を行ったところ、E7発現によりTEAD4の発現レベルが上昇した。この効果はE7変異体では認められなかったことから、E7によるRb結合及び分解がTEAD4の発現誘導に必要なことが示された。 またTEAD4はプロモーター領域の認識DNA配列に結合するが、それ自体には転写活性化能はなく、転写の誘導には結合するコアクチベーターを必要とする。APOBEC3B プロモーターの活性化に働くTEAD4コアクチベーターを同定するために、リポーターアッセイを用いてコアクチベーター(YAP、TAZ、SRC3)の関与を調べた。その結果、YAPまたはTAZをsiRNAノックダウンしても、TEAD4によるAPOBEC3B プロモーターの活性化は変わらず認められた。一方、SRC3をノックダウンすると、APOBEC3B プロモーターの活性化が減弱した。従って、コアクチベーターとしてSRC3が関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、APOBEC3Bプロモーターの活性化に働くTEAD4コアクチベーターの候補を見出すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
E6またはE7を発現するHCK1T細胞を作成し、親株細胞とTEAD4をノックダウンしたE6/E7発現細胞とで、次世代シークエンサーによるトランスクリプトーム解析を比較して行うことで、E6/E7によるTEAD4上昇を介して、誘導もしくは抑制される細胞遺伝子群を網羅的に同定する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成30年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。 平成29年度分についてはほぼ使用済みである。 平成30年度は次世代シークエンサーによるトランスクリプトーム解析を実施する予定。
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[Journal Article] Within-host variations of human papillomavirus reveal APOBEC signature mutagenesis in the viral genome2018
Author(s)
Hirose Y, Onuki M, Tenjimbayashi Y, Mori S, Ishii Y, Takeuchi T, Tasaka N, Satoh T, Morisada T, Iwata T, Miyamoto S, Matsumoto K, Sekizawa A, Kukimoto I.
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Journal Title
Journal of Virology
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Whole-genome analysis of human papillomavirus genotypes 52 and 58 isolated from Japanese women with cervical intraepithelial neoplasia and invasive cervical cancer2017
Author(s)
Tenjimbayashi Y, Onuki M, Hirose Y, Mori S, Ishii Y, Takeuchi T, Tasaka N, Satoh T, Morisada T, Iwata T, Miyamoto S, Matsumoto K, Sekizawa A, Kukimoto I.
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Journal Title
Infectious Agents and Cancer
Volume: 12
Pages: 44
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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