2018 Fiscal Year Research-status Report
前庭水管拡大を呈する難聴遺伝子SLC26A4による難聴は血管条機能障害由来である
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17K11316
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 卓 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40401400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 慶之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (10376759)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 巨大耳石 / 前庭水管拡大 / 球形嚢 / 卵形嚢 / 半規管 |
Outline of Annual Research Achievements |
内耳奇形の一つである前庭水管拡大は様々な疾患に合併するが、特にDFNB4/Pendred症候群において高頻度に見られる。DFNB4/Pendred症候群は難聴遺伝子であるSLC26A4の変異によって引き起こされるが、本遺伝子変異はめまいやふらつきなどの平衡障害を呈することもある。平衡機能検査では頭位眼振や頭位変換眼振が観察される一方で、カロリックテストやVEMPでは異常を呈さないこともあり、治療を考えるうえでその病態解明は実臨床において重要である。 昨年度は、ペンドレッド症候群の原因遺伝子であるSlc26a4をノックアウトしたマウス(Slc26a4Δ/Δ)を購入して、野生型と掛け合わせることで実験群と対照群のマウスを準備した。本マウスをMicroCTで撮影して蝸牛を観察したところ、実験群のマウスにおいてはヒトにおけるMondini奇形に相当するような画像が得られた。 本年度は平衡器についての検討を行い、卵形嚢と球形嚢が拡大している一方で三半規管には対照群と実験群で明らかな差異が見られないことが分かった。さらに、マウス眼球運動を近赤外線高精度カメラで撮影して解析することで、VORやカロリックテストではあまり障害が強くないことを確認した。次いで耳石器機能を反映していると考えられている頭部傾斜試験を行ったところ、著しい障害を認めた。すなわち半規管障害に比べて耳石器障害が著明であることが判明した。これらの所見から平衡障害の病態解明につなぐことができる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はペンドレッド症候群の原因遺伝子であるSlc26a4をノックアウトしたマウス(Slc26a4Δ/Δ)に加えて、およびドキシサイクリリン(Dox)投与によって SLC26A4 発現を自由にコントロールできるマウス(Tg[E];Tg(RP23-265L9/rtTA2S-M2/NeoR)1Ajg、Tg[R]; Tg(AcGFP/TRE/Slc26a4)2Ajg)を米国ジャクソン研究所 より入手する予定であったが、現在のところはSlc26a4Δ/Δしか入手できていない。 その代わり、当初予定に入っていなかった平衡器官の解析を進めており、新たな知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Tg[E];Tg(RP23-265L9/rtTA2S-M2/NeoR)1Ajg、Tg[R]; Tg(AcGFP/TRE/Slc26a4)2Ajgを利用することなく、Slc26a4Δ/Δのみを用いてペンドレッド症候群の聴覚障害、さらに平衡障害の病態を解明することを予定している。
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Causes of Carryover |
おおむね計画通りに実験を行い、消耗品を購入しているが、端数が生じてしまった。次年度に持ち越して消耗品を購入し、実験を進める予定である。
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